格言聯璧 / 接物類・何を以てか謗りを息めん
窮天下之辯者,不在辯而在訥。 伏天下之勇者,不在勇而在怯。 以耐事,了天下之多事。 以無心息天下之爭心。 何以息謗?曰無辯。 何以止怨?曰不爭。
新字:窮天下之弁者,不在弁而在訥。 伏天下之勇者,不在勇而在怯。 以耐事,了天下之多事。 以無心息天下之争心。 何以息謗?曰無弁。 何以止怨?曰不争。
書き下し
天下の辯者を窮むるは、辯に在らずして訥に在り。 天下の勇者を伏するは、勇に在らずして怯に在り。 事に耐ふるを以て、天下の多事を了す。 無心を以て天下の爭心を息む。 何を以てか謗りを息めん。曰く、辯ずる無かれ。 何を以てか怨みを止めん。曰く、爭はざれ。
現代語訳
天下の雄弁家を行き詰まらせるのは、雄弁ではなく口べたです。 天下の勇者を屈服させるのは、勇気ではなく臆病です。 事に耐えることによって、天下の多くの事を片づけます。 無心によって、天下の争う心を鎮めます。 どうすれば悪口をやめさせられるでしょうか。答えは、弁解しないことです。 どうすれば恨みを止められるでしょうか。答えは、争わないことです。
解説
前の単位の「智者を困しむるは愚に在り」に続き、弁者には訥、勇者には怯と、逆説の三つ組を締めくくります。力でぶつかる相手には、力で応じないことが最も効くというのです。三句目と四句目は、忍耐が多事を片づけ、無心が争いの心を鎮めると言います。最後の二つの問答は、この則の結論です。謗りは弁解するほど広がり、怨みは争うほど深まるので、弁じないこと、争わないことが止める道だと説きます。言い返さずに身を修めることで謗りを消すという考え方は、中国の処世訓に繰り返し現れます。誤解や悪口に反論したくなるときこそ、一呼吸おいて沈黙を選べるかどうかが試されます。
この章句が説くこと
忍耐不争接物謙虚寛容
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