格言聯璧 / 持躬類・海闊くして魚の躍るに從ふ
海闊從魚躍,天空任鳥飛,非大丈夫不能如此度量! 振衣千仞岡,濯足萬里流,非大丈夫不能有此氣節! 珠藏澤自媚,玉韞山含輝,非大丈夫不能有此蘊藉!
新字:海闊従魚躍,天空任鳥飛,非大丈夫不能如此度量! 振衣千仞岡,濯足万里流,非大丈夫不能有此気節! 珠蔵沢自媚,玉韞山含輝,非大丈夫不能有此蘊藉!
書き下し
海闊くして魚の躍るに從ひ、天空しくして鳥の飛ぶに任す、大丈夫に非ざれば此くの如き度量なる能はず。 衣を千仞の岡に振ひ、足を萬里の流れに濯ふ、大丈夫に非ざれば此の氣節有る能はず。 珠藏れて澤自ら媚しく、玉韞まれて山輝きを含む、大丈夫に非ざれば此の蘊藉有る能はず。
現代語訳
海は広く魚が躍るにまかせ、空はがらんとして鳥が飛ぶにまかせる。大丈夫でなければ、このような度量は持てません。 千仞の高い岡で衣の塵を払い、万里の大河で足を洗う。大丈夫でなければ、このような気節は持てません。 真珠が隠れていると沢はおのずとうるわしく、玉が包まれていると山は輝きを含む。大丈夫でなければ、このような奥ゆかしさは持てません。
解説
大丈夫の資質を、詩句を借りて描く聯で、次の単位の「月は梧桐の上に到り」とあわせて四つの形で並びます。海闊・天空の句は古くから知られた詩句で、何ものも自由に泳がせ飛ばせる大きな度量を表します。振衣・濯足は西晋の左思「詠史詩」の名句で、世俗の塵を払う高い気節です。珠蔵・玉韞は西晋の陸機「文賦」の句に基づき、内に宝を秘めた人のにじみ出る品格、つまり蘊藉を表します。度量・気節・蘊藉という三つの資質を、海と空、山と川、沢と山という雄大な景色で示していて、声に出して読むと胸が広がるような一条です。
この章句が説くこと
度量気節蘊藉持躬大丈夫
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