人物志 / 七繆
富貴遂達,勢之申也;貧賤窮匱,勢之壓也。
新字:富貴遂達,勢之申也;貧賤窮匱,勢之圧也。
書き下し
富貴遂達は、勢の申ぶるなり。貧賤窮匱は、勢の壓さるるなり。
現代語訳
富貴になり栄達を遂げるのは、その人を取り巻く勢いが伸びている状態である。貧賤で困窮しているのは、その人を取り巻く勢いが押さえつけられている状態である。
解説
人が富み栄えるか貧しく窮するかは、本人の力量だけでなく、その時々の巡り合わせや勢いに大きく左右されると劉劭は指摘する。ところが人は、成功している人を実力以上に高く見て、不遇な人を実力以下に低く見てしまいやすい。収入や肩書きといった今の境遇だけを見て、その人の本当の力量を判断してしまうと、勢いの巡り合わせと本人の実質を取り違えることになる。境遇の順逆と人物の実力は、必ずしも一致しないことを心に留めておきたい。
この章句が説くこと
境遇勢い評価の歪み
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説苑・權謀孝宣皇帝の時、霍氏奢靡なり。茂陵の徐先生曰く、「霍氏必ず亡びん。夫れ人の右に在りて奢るは、亡ぶるの道なり。孔子曰く、『奢なれば則ち不遜なり』と。夫れ不遜なる者は必ず上を侮る。上を侮る者は、逆の道なり。人の右に出づれば、人必ず之を害す。今霍氏權を秉り、天下の之を疾害する者多し。夫れ天下之を害して又た逆道を以て之を行はば、亡びざるを何ぞ待たん」と。乃ち書を上げて霍氏の奢靡を言ひ、陛下即ち之を愛せば、宜しく時を以て抑制し、亡ぶるに至らしむること無かるべしと。書三たび上げるも、輒ち報あり、「聞けり」と。其の後霍氏果して滅ぶ。董忠等其の功を以て封ぜらる。人徐先生の爲に書を上ぐる者有り、曰く、「臣聞く、客に主人に過る者有り、竈の直突にして、傍らに積薪有るを見る。客主人に謂ひて曰く、『其の突を曲げ、其の積薪を遠ざけよ。然らずんば將に火患有らんとす』と。主人默然として應ぜず。居ること幾何も無く、家果して火を失す。鄕聚里中の人哀しみて之を救ひ、火幸に息む。是に於て牛を殺し酒を置き、髮を燔き爛れし者は上行に在り、餘は各〻功次を用ゐて坐す。而れども反りて突を曲ぐと言ふ者を錄せず。向使し主人客の言を聽かば、牛酒を費さず、終に火患無からん。今茂陵の徐福數〻書を上げて霍氏且に變有らんとするを言ひ、宜しく防ぎ絕つべしと。向使し福の說行はるるを得ば、則ち地を裂き爵を出だすの費無くして、國安平自如ならん。今往事既に已み、而るに福獨り其の功に與るを得ず。惟だ陛下客の徙薪曲突の策を察し、而して燔髮灼爛の右に居らしめよ」と。書奏せられ、上人をして徐福に帛十匹を賜はしめ、拜して郎と爲す。
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