人物志 / 七繆
富貴遂達,勢之申也;貧賤窮匱,勢之壓也。
新字:富貴遂達,勢之申也;貧賤窮匱,勢之圧也。
書き下し
富貴遂達は、勢の申ぶるなり。貧賤窮匱は、勢の壓さるるなり。
現代語訳
富貴になり栄達を遂げるのは、その人を取り巻く勢いが伸びている状態である。貧賤で困窮しているのは、その人を取り巻く勢いが押さえつけられている状態である。
解説
人が富み栄えるか貧しく窮するかは、本人の力量だけでなく、その時々の巡り合わせや勢いに大きく左右されると劉劭は指摘する。ところが人は、成功している人を実力以上に高く見て、不遇な人を実力以下に低く見てしまいやすい。収入や肩書きといった今の境遇だけを見て、その人の本当の力量を判断してしまうと、勢いの巡り合わせと本人の実質を取り違えることになる。境遇の順逆と人物の実力は、必ずしも一致しないことを心に留めておきたい。
この章句が説くこと
境遇勢い評価の歪み