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人物志 / 體別

夫中庸之德,其質無名。故鹹而不鹻,淡而不𨣈,質而不縵,文而不繢;

新字:夫中庸之徳,其質無名。故鹹而不鹻,淡而不𨣈,質而不縵,文而不繢;

書き下し

夫れ中庸の徳は、其の質に名無し。故に鹹にして鹻ならず、淡にして𨣈ならず、質にして縵ならず、文にして繢ならず。

現代語訳

そもそも中庸の徳は、その素質に名づけようがない。だから塩気があっても苦くからくはなく、淡くても味気なくはなく、質朴であっても粗末ではなく、飾りがあってもけばけばしくはない。

解説

體別篇の冒頭で、中庸の徳を味と布の比喩で描く一節である。塩辛さはあってもえぐくはなく、淡くても味気なくはなく、質素でも粗末ではなく、彩りがあってもけばけばしくはない。どの性質も持ちながら、どれも行き過ぎないので、一語で名づけることができない、というのが「その質に名無し」の意味である。九徵篇で中和の質を「平淡無味」と呼んだことを、具体的な比喩で言い換えている。現代でも、良い上司や調整役は「あの人は何型」と一言で言いにくいことが多い。性格診断の型に人を当てはめたくなるとき、型に収まらない均衡そのものに価値があることを思い出させる言葉である。

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