囲炉夜話 / 第百九十二則・必ずしも白を求むるに急ならず
以直道教人,人即不從,而自反無愧,切勿曲以求榮也。 以誠心待人,人或不諒,而歷久自明,不必急於求白也。
新字:以直道教人,人即不従,而自反無愧,切勿曲以求栄也。 以誠心待人,人或不諒,而歴久自明,不必急於求白也。
書き下し
直道を以て人に教ふ、人即ひ從はざるも、而も自ら反みて愧づる無し、切に曲げて以て榮を求むる勿かれ。 誠心を以て人を待つ、人或いは諒とせざるも、而も久しきを歷て自ら明らかなり、必ずしも白を求むるに急ならず。
現代語訳
まっすぐな道で人を教えれば、たとえ相手が従わなくても、自分を振り返って恥じることはありません。決して道を曲げて栄誉を求めてはいけません。真心で人に接すれば、相手がときに理解してくれなくても、時がたてば自然と明らかになります。急いで身の潔白を示そうとしなくてもよいのです。
解説
人に理解されないときの構えを示す対句です。上の句は、正しい道で人を導いて聞き入れられなくても、自分に恥じることはないのだから、相手に合わせて道を曲げ、評判を得ようとするなと言います。自反とは、自分を振り返ることです。下の句は、誠意が誤解されたときのことで、長い時間を経れば自然に明らかになるから、急いで弁明しなくてよいと言います。求白とは潔白を明らかにしようとすることです。ただし、不当な扱いに黙って耐えよという意味ではありません。焦って言い訳を重ねるより、行いの積み重ねで示すほうが確かだという知恵です。
この章句が説くこと
誠実正直誤解忍耐処世
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