葉隠 / 聞書第二
貴人、老人などの前にて、左右なく學問かた、道德の事、昔話等遠慮すべし。聞きにくし。聞きにくく
新字:貴人、老人などの前にて、左右なく学問かた、道徳の事、昔話等遠慮すべし。聞きにくし。聞きにくく
書き下し
貴人、老人などの前にて、左右(とかく)なく学問かた、道徳の事、昔話等遠慮すべし。聞きにくし。聞きにくく。
現代語訳
身分の高い人や年長者の前では、むやみに学問めいたことや道徳の話、昔話などを得意げに語るのは慎むべきだ。聞き苦しいものだ。まことに聞き苦しい。
解説
目上の人や年長者の前で、学識や道徳論、昔話を得意げに披露するのは慎めという、処世の心得です。たとえ内容が正しくとも、場をわきまえない知ったかぶりは、聞く側に耳障りで、かえって品位を下げてしまう、というのです。短い条ながら、謙虚さと場の感覚の大切さを鋭く突いています。現代でも、経験や知識の豊富な相手の前で、にわか仕込みの知識を披露して失笑を買う場面はよくあります。知っていることを語るより、まず相手を立てて聞き手にまわる方が、結局は信頼を得やすい。慎みと謙譲が身を助けるという、時代を超えた助言です。
この章句が説くこと
葉隠謙虚処世術場をわきまえる知ったかぶり慎み
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