言志四録 / 南洲手抄
引滿中度、發無空箭。人事宜如射然。
新字:引満中度、発無空箭。人事宜如射然。
書き下し
満を引き度に中り、発して空箭無し。人事宜しく射の如く然るべし。
現代語訳
弓を十分に引き絞り、狙いを的確に定め、放てば一矢も外さない。人の事も、弓を射るときのようにあるべきだ。
解説
弓射になぞらえて、物事への万全の構えを説いた一条です。弓を十分に引き絞り(準備を尽くし)、狙いを正確に定め(見極め)、放てば無駄矢がない(実行して外さない)——この一連こそ、あらゆる仕事の理想だと言います。準備・照準・実行のどれを欠いても的は外れる。とりわけ「満を引く」——力を出し惜しみせず準備を尽くす姿勢が印象的です。行き当たりばったりや、中途半端な準備で事に臨みがちな私たちに、一射入魂の集中と周到さを求めます。九十四番の「楫なき舟は行くな、的なき矢は放つな」とも響き合う、実践の心得です。
この章句が説くこと
弓射準備集中実行
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