顔氏家訓 / 治家
婦主中饋、惟事酒食衣服之禮耳、國不可使預政、家不可使幹蠱、如有聰明才智、識達古今、正當輔佐君子、助其不足、必無牝雞晨鳴、以致禍也。
新字:婦主中饋、惟事酒食衣服之礼耳、国不可使預政、家不可使幹蠱、如有聰明才智、識達古今、正当輔佐君子、助其不足、必無牝雞晨鳴、以致禍也。
書き下し
婦は中饋を主る。惟だ酒食衣服の礼を事とするのみ。国は政に予らしむべからず、家は蠱に幹らしむべからず。如し聡明才智ありて、古今に識達せば、正に当に君子を輔佐し、其の不足を助くべし。必ず牝鶏の晨に鳴きて、以て禍いを致すこと無かれ。
現代語訳
妻は家の中の食事をつかさどる。ただ酒食と衣服にまつわる礼を務めとするだけである。国においては政治に関与させてはならず、家においては家業の主導を任せてはならない。もし聡明で才知があり、古今の事に通じているなら、まさに夫を補佐して、その足りないところを助けるべきである。けっして雌鶏が朝に鳴いて、禍いを招くようなことがあってはならない。
解説
この段は、六世紀の身分と性別の秩序をそのまま述べたものです。妻を政治や家業の主導から排し、補佐の位置に限る。「牝鶏の晨に鳴く」は『書経』牧誓の句で、女性が主導することを国の乱れの兆しとした古い決まり文句です。現代の規範とは相容れませんし、顔之推自身も次の段で、北方では妻が家を主導する風俗があると認めています。この一段は、顔之推の思想がその時代の制約の中にあったことを示す資料として読むべきものです。同時に、いま自分が当然と思っている職務の線引きのうち、何が機能上の必要で何が時代の慣習にすぎないのかを問う機会にもなります。
この章句が説くこと
婦は中饋を主る牝鶏の晨に鳴く時代の制約役割の線引き秩序名分
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