顔氏家訓 / 教子
父子之嚴、不可以狎、骨肉之愛、不可以簡。簡則慈孝不接、狎則怠慢生焉。由命士以上、父子異宮、此不狎之道也、抑搔癢痛、懸衾篋枕、此不簡之教也。
新字:父子之厳、不可以狎、骨肉之愛、不可以簡。簡則慈孝不接、狎則怠慢生焉。由命士以上、父子異宮、此不狎之道也、抑搔癢痛、懸衾篋枕、此不簡之教也。
書き下し
父子の厳は、以て狎るべからず。骨肉の愛は、以て簡にすべからず。簡なれば則ち慈孝接せず、狎るれば則ち怠慢生ず。命士より以上は、父子宮を異にす。此れ狎れざるの道なり。癢痛を抑え搔き、衾を懸け枕を篋にす。此れ簡にせざるの教えなり。
現代語訳
父子のあいだの厳しさは、なれなれしさに崩してはならない。肉親の愛情は、粗略にしてはならない。粗略にすれば慈しみと孝行が通い合わなくなり、なれなれしくすれば怠慢が生じる。命士より上の身分では、父と子は住まいを別にする。これがなれなれしくならないための道である。かゆいところや痛むところをさすってやり、夜具を掛け枕を箱にしまう。これが粗略にしないための教えである。
解説
距離の設計についての一段です。近すぎれば緩み、遠すぎれば情が通わない。顔之推は両側から線を引きました。住まいを分けるという物理的な距離で「狎れ」を防ぎ、体をさすり寝具を整えるという身体的な世話で「簡」を防ぐ。抽象的な心構えではなく、具体的な習慣として置いているのが要点です。上司と部下の関係でも同じ設計が要ります。飲み会で距離を縮めることばかり考えて、評価や指摘の厳しさが緩んでいないか。逆に、厳しさを保つつもりで、相手の生活や体調に一切関心を示さなくなっていないか。近さと厳しさは二者択一ではなく、別々の手段で同時に立てるものです。
この章句が説くこと
狎るべからず簡にすべからず父子宮を異にす距離の設計公平性
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