顔氏家訓 / 勉學
古人勤學、有握錐投斧、照雪聚螢、鋤則帶經、牧則編簡、亦為勤篤。梁世彭城劉綺、交州刺史勃之孫、早孤家貧、燈燭難辦、常買荻尺寸折之、然明夜讀。孝元初出會稽、精選寮寀、綺以才華、為國常侍兼記室、殊蒙禮遇、終於金紫光禄。
新字:古人勤学、有握錐投斧、照雪聚蛍、鋤則帯経、牧則編簡、亦為勤篤。梁世彭城劉綺、交州刺史勃之孫、早孤家貧、灯燭難辦、常買荻尺寸折之、然明夜読。孝元初出会稽、精選寮寀、綺以才華、為国常侍兼記室、殊蒙礼遇、終於金紫光禄。
書き下し
古人の勤学には、錐を握り斧を投じ、雪に照らし螢を聚め、鋤けば則ち経を帯び、牧すれば則ち簡を編むもの有り。亦た勤篤と為す。梁世の彭城の劉綺は、交州刺史勃の孫なり。早く孤にして家貧し、灯燭辦じ難し。常に荻を買い尺寸に之を折り、然やして明るくして夜読す。孝元初めて会稽に出で、寮寀を精選す。綺は才華を以て、国常侍兼記室と為り、殊に礼遇を蒙り、金紫光禄に終わる。
現代語訳
昔の人の勤学には、錐を握って眠気を刺し、斧を投げ捨てて学問に向かい、雪明かりで読み、蛍を集めて灯とし、鋤を持てば経書を腰に帯び、牧に出れば竹簡を編むといった例がある。これらも勤勉篤実である。梁の時代の彭城の劉綺は、交州刺史であった劉勃の孫である。早くに父を失い家は貧しく、灯りの用意ができなかった。いつも荻を買って一寸ほどに折り、それを燃やして明かりにして夜に読んだ。元帝がはじめて会稽に出たとき、幕僚を厳選した。劉綺は才能によって国常侍兼記室となり、格別に礼遇され、金紫光禄大夫にまで至った。
解説
苦学の故事を並べた後に、顔之推が実際に知っている人の例を置きます。劉綺は灯油が買えないので、荻を一寸ほどに折って燃やし、その明かりで読んだ。荻は一本ではすぐ燃え尽きるので、短く折って次々に足していったのでしょう。手の込んだ工夫ではなく、手元にあるもので条件を作っている。そして後に礼遇され高位に至りました。条件が整うのを待たず、あるもので始める。故事としての苦学談より、同時代人の具体的な工夫のほうが、読む者には近く感じられます。
この章句が説くこと
錐を握り斧を投ず雪に照らし蛍を聚む荻を買い尺寸に之を折るあるもので始める学問
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