顔氏家訓 / 勉學
學之興廢、隨世輕重。漢時賢俊、皆以一經弘聖人之道、上明天時、下該人事、用此致卿相者多矣。末俗已來不復爾、空守章句、但誦師言、施之世務、殆無一可。故士大夫子弟、皆以博涉為貴、不肯專儒。
新字:学之興廃、随世軽重。漢時賢俊、皆以一経弘聖人之道、上明天時、下該人事、用此致卿相者多矣。末俗已来不復爾、空守章句、但誦師言、施之世務、殆無一可。故士大夫子弟、皆以博渉為貴、不肯専儒。
書き下し
学の興廃は、世に随いて軽重す。漢の時の賢俊は、皆な一経を以て聖人の道を弘め、上は天時を明らかにし、下は人事を該ね、此を用いて卿相を致す者多し。末俗已来は復た爾らず。空しく章句を守り、但だ師の言を誦するのみ。之を世務に施せば、殆ど一も可なる無し。故に士大夫の子弟は、皆な博渉を以て貴しと為し、専儒を肯えてせず。
現代語訳
学問が盛んになったり衰えたりするのは、時代によって重んじられ方が変わるからである。漢の時代の優れた人たちは、みな一つの経典によって聖人の道を広め、上は天の時を明らかにし、下は人の事を包み込み、それによって大臣にまでなった者が多い。後世になるとそうではなくなった。空しく章句を守り、ただ師の言葉を暗誦するだけになった。それを実務に用いても、ほとんど一つも役に立たない。だから士大夫の子弟は、みな広く浅く渉ることを尊び、一つの経を専門にしようとしなくなった。
解説
専門を持たなくなった理由を、専門家の側の劣化に求めた一段です。かつては一つの経典に通じることが、天文から人事までを扱う力になり、大臣への道になった。それが章句の暗誦だけになり、実務の役に立たなくなった。だから若い者は専門を持たず、広く浅く渉るようになった。若者の姿勢の問題ではなく、専門が実務との接続を失ったことが原因だという診断です。専門職が敬遠されるとき、志望者の変化を嘆く前に、その専門が実務とつながっているかを見る必要があります。
この章句が説くこと
学の興廃は世に随いて軽重す空しく章句を守り師の言を誦す博渉を貴び専儒を肯えてせず学問
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