顔氏家訓 / 文章
學為文章、先謀親友、得其評裁、知可施行、然後出手、慎勿師心自任、取笑旁人也。自古執筆為文者、何可勝言。然至於宏麗精華、不過數十篇耳。但使不失體裁、辭意可觀、便稱才士、要須動俗蓋世、亦俟河之清乎!
新字:学為文章、先謀親友、得其評裁、知可施行、然後出手、慎勿師心自任、取笑旁人也。自古執筆為文者、何可勝言。然至於宏麗精華、不過数十篇耳。但使不失体裁、辞意可観、便称才士、要須動俗蓋世、亦俟河之清乎!
書き下し
文章を学び為るには、先ず親友に謀り、其の評裁を得て、施行すべきを知り、然る後に手を出だせ。慎みて師心自任し、旁人に笑わるること勿かれ。古より筆を執りて文を為る者、何ぞ勝げて言うべけんや。然れども宏麗精華に至りては、数十篇に過ぎざるのみ。但だ体裁を失わず、辞意観るべからしめば、便ち才士と称す。要ず須らく俗を動かし世を蓋わんとするは、亦た河の清むを俟たんや。
現代語訳
文章を学んで書くには、まず親しい友に相談し、その批評を受け、世に出してよいと分かってから、はじめて手を離すべきである。慎んで自分の考えだけを師とし、そばの人に笑われるようなことがあってはならない。昔から筆を執って文を書いた者は、数えきれない。しかし壮麗で精華といえるものは、数十篇に過ぎない。ただ体裁を失わず、言葉と意味が見るに堪えるものであれば、それで才士と称される。どうしても世を動かし時代を覆おうとするのは、黄河の水が澄むのを待つようなものだ。
解説
前段の「自分を見るのは難しい」を受けて、具体的な処方を出した一段です。自分では判断できないのだから、先に人に見せよ。「師心自任」——自分の考えだけを師とすることを戒めています。そして目標水準を現実に下ろす。歴史上、壮麗といえる文章は数十篇しかない。体裁が整い、言葉と意味が読めれば、それで才士とされる。世を動かす傑作を狙うのは、黄河が澄むのを待つに等しい。到達可能な水準を示すことで、無理な目標のせいで手が止まることを防いでいます。
この章句が説くこと
先ず親友に謀り其の評裁を得る師心自任する勿かれ体裁を失わず辞意観るべし目標水準
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