顔氏家訓 / 名實
治點子弟文章、以為聲價、大弊事也。一則不可常繼、終露其情、二則學者有憑、益不精勵。
新字:治点子弟文章、以為声価、大弊事也。一則不可常継、終露其情、二則学者有憑、益不精勵。
書き下し
子弟の文章を治点して、以て声価と為すは、大いなる弊事なり。一には則ち常には継ぐべからず、終に其の情を露わす。二には則ち学ぶ者憑る有り、益ます精励せず。
現代語訳
子や弟の書いた文章に手を入れて、それを評判の種にするのは、たいへんな弊害である。第一に、いつまでも続けられるものではなく、最後には事情が露見する。第二に、学ぶ側に頼るものができて、いっそう精を出して励まなくなる。
解説
親が子の作品に手を入れて、良い評判を作ってやることの害を、二点に絞って述べています。第一は、続けられないこと。いずれ本人だけで臨む場が来て、そこで実力が露見する。第二は、本人が努力しなくなること。手を入れてもらえると分かっていれば、自分で仕上げる必要がなくなります。二つとも、短期には効いて長期に壊れる型です。上司が部下の資料を大幅に直して通してしまう、親が子の課題を手伝う、先輩が後輩の成果を整える。善意ですが、その人が自分で立つ機会を奪います。直すのではなく、直せるように教えるほうが、時間はかかっても本人に残ります。
この章句が説くこと
子弟の文章を治点す終に其の情を露わす学ぶ者憑る有り代行の害
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