顔氏家訓 / 終制
載以鱉甲車、襯土而下、平地無墳、若懼拜掃不知兆域、當築一堵低牆於左右前後、隨為私記耳。靈筵勿設枕幾、朔望祥禫、唯下白粥清水乾棗、不得有酒肉餅果之祭。親友來餟酹者、一皆拒之。汝曹若違吾心、有加先妣、則陷父不孝、在汝安乎?
新字:載以鱉甲車、襯土而下、平地無墳、若懼拝掃不知兆域、当築一堵低牆於左右前後、随為私記耳。霊筵勿設枕幾、朔望祥禫、唯下白粥清水乾棗、不得有酒肉餅果之祭。親友来餟酹者、一皆拒之。汝曹若違吾心、有加先妣、則陥父不孝、在汝安乎?
書き下し
載するに鱉甲車を以てし、土に襯えて下ろせ。平地にして墳無かれ。若し拝掃に兆域を知らざるを懼れば、当に一堵の低牆を左右前後に築き、随いて私記を為すのみ。霊筵には枕几を設くる勿かれ。朔望祥禫には、唯だ白粥・清水・乾棗を下せ。酒肉餅果の祭有るを得ず。親友の来たりて餟酹する者は、一に皆な之を拒め。汝曹若し吾が心に違い、先妣に加うる有らば、則ち父を不孝に陥る。汝が心に安んぜんや。
現代語訳
亀甲車に載せて運び、土に接するように下ろせ。地面を平らにして墳を築くな。もし墓参のときに区域が分からなくなるのを恐れるなら、低い塀を前後左右に一重築いて、それに応じて私的な目印とすればよい。霊前には枕や脇息を置くな。朔日と望日、一周忌と二周忌の祭りには、白粥と清水と干し棗だけを供えよ。酒や肉や餅や果物の供え物をしてはならない。親友が来て酒を注いで供えようとしたら、すべて断れ。お前たちがもし私の意に背いて、亡き母よりも手厚くするなら、父を不孝に陥れることになる。お前たちの心は安らかでいられるか。
解説
指示がさらに具体的になります。墳を築くな、低い塀を目印にせよ、供え物は白粥と清水と干し棗だけ、弔問客の酒も断れ。そして理由を最後に置きます。母より手厚くすれば、父である自分を不孝に陥れることになる。子の側からすれば、父を丁重に葬るのは孝行です。それが逆に不孝になるという構図を示すことで、指示に従わせています。「汝が心に安んぜんや」——それでお前の心は安らかか。命令ではなく、相手の心情に訴えて閉じる。指示を守らせるには、理由が相手の側の言葉になっている必要があります。
この章句が説くこと
平地にして墳無かれ唯だ白粥清水乾棗を下せ父を不孝に陥る相手の側の理由
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