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顔氏家訓 / 歸心

江陵劉氏、以賣鱔羹為業。後生一兒頭是鱔、自頸以下、方為人耳。

新字:江陵劉氏、以売鱔羹為業。後生一児頭是鱔、自頸以下、方為人耳。

書き下し

江陵の劉氏、鱔羹を売るを以て業と為す。後に一児を生む。頭は是れ鱔、頸より以下、方めて人と為るのみ。

現代語訳

江陵の劉氏は、鰻の羹を売るのを生業としていた。後に一人の子が生まれた。頭は鰻で、首から下がようやく人であった。

解説

最も短く、最も強烈な因果応報譚です。三十字で、生業と報いが直結している。史実ではなく、当時流通していた説話として記録されたものです。ここで注意すべきは、この種の話が持つ危うさです。生業そのものを罪とし、生まれた子を報いとして語る構造は、実際の人間に対する差別に直結します。顔之推自身は不殺生を勧める文脈でこれを引いていますが、現代の読者としては、この説話が誰を傷つけうるかを見ておく必要があります。因果を語る物語は、往々にして不運な人に責任を負わせる装置として働きます。

この章句が説くこと

鱔羹を売るを業と為す頭は是れ鱔因果応報譚物語の危うさ

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