顔氏家訓 / 養生
吾嘗患齒、搖動欲落、飲食熱冷、皆苦疼痛。見抱樸子牢齒之法、早朝叩齒三百下為良、行之數日、即便平愈、今恒持之。此輩小術、無損於事、亦可修也。凡欲餌藥、陶隱居太清方中總錄甚備、但須精審、不可輕脫。近有王愛州在鄴學服松脂、不得節度、腸塞而死、為藥所誤者甚多。
新字:吾嘗患齒、揺動欲落、飲食熱冷、皆苦疼痛。見抱樸子牢齒之法、早朝叩齒三百下為良、行之数日、即便平愈、今恒持之。此輩小術、無損於事、亦可修也。凡欲餌薬、陶隠居太清方中総録甚備、但須精審、不可軽脫。近有王愛州在鄴学服松脂、不得節度、腸塞而死、為薬所誤者甚多。
書き下し
吾嘗て歯を患い、揺動して落ちんと欲す。飲食の熱冷、皆な疼痛に苦しむ。抱朴子の牢歯の法を見るに、早朝に歯を叩くこと三百下を良と為す。之を行うこと数日にして、即便ち平愈す。今恒に之を持す。此の輩の小術は、事に損無し。亦た修むべきなり。凡そ薬を餌わんと欲せば、陶隠居の太清方の中に総録甚だ備わる。但だ須らく精審すべく、軽脱なるべからず。近ごろ王愛州の鄴に在りて松脂を服するを学び、節度を得ず、腸塞がりて死する有り。薬の誤る所と為る者甚だ多し。
現代語訳
私はかつて歯を患い、ぐらついて抜けそうになった。飲食の熱いものも冷たいものも、すべて痛みに苦しんだ。『抱朴子』の歯を丈夫にする法を見ると、早朝に歯を三百回打ち合わせるのがよいとあった。数日行うと、すぐに治った。今もいつも続けている。この類の小さな術は、物事に害がない。行ってもよい。およそ薬を服用しようとするなら、陶弘景の『太清方』の中に総目録がたいそう詳しく備わっている。ただし細かく吟味すべきで、軽率であってはならない。近ごろ王愛州が鄴で松脂を服用することを学び、加減を誤って、腸が詰まって死んだ。薬によって誤る者はたいそう多い。
解説
顔之推が自分で試して効いたことと、他人が死んだ例を並べた一段です。歯を打ち合わせる法は、自分で数日試して効いたので今も続けている。「事に損無し」——害がないから行ってよい、という判定です。一方、松脂の服用で腸が詰まって死んだ例を挙げ、薬は細かく吟味せよと言う。基準は「害がないか」と「加減が分かるか」。効くかどうかより先に、外したときの被害の大きさで分けています。新しい方法を試すとき、効果の見込みより、失敗したときにどうなるかで選別する。損失が小さいものは気軽に試し、大きいものは慎重に調べる。
この章句が説くこと
抱朴子の牢歯の法歯を叩くこと三百下松脂を服して腸塞がる失敗時の損失
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