顔氏家訓 / 省事
齊之季世、多以財貨托附外家、諠動女謁。拜守宰者、印組光華、車騎輝赫、榮兼九族、取貴一時。而為執政所患、隨而伺察、既以利得、必以利殆、微染風塵、便乖肅正、坑阱殊深、瘡痏未復、縱得免死、莫不破家、然後噬臍、亦復何及。吾自南及北、未嘗一言與時人論身分也、不能通達、亦無尤焉。
新字:斉之季世、多以財貨托附外家、諠動女謁。拝守宰者、印組光華、車騎輝赫、栄兼九族、取貴一時。而為執政所患、随而伺察、既以利得、必以利殆、微染風塵、便乖粛正、坑阱殊深、瘡痏未復、縦得免死、莫不破家、然後噬臍、亦復何及。吾自南及北、未嘗一言与時人論身分也、不能通達、亦無尤焉。
書き下し
斉の季世、多く財貨を以て外家に托附し、女謁を諠動す。守宰を拝する者は、印組光華、車騎輝赫、栄は九族を兼ね、貴を一時に取る。而して執政の患う所と為り、随いて伺察せらる。既に利を以て得れば、必ず利を以て殆うし。微かに風塵に染まれば、便ち肅正に乖く。坑阱殊に深く、瘡痏未だ復せず。縦い死を免るるを得るも、家を破らざるは莫し。然る後に臍を噬むも、亦復た何ぞ及ばんや。吾南より北に及ぶまで、未だ嘗て一言も時人と身分を論ぜざるなり。通達する能わざるも、亦た尤む無し。
現代語訳
北斉の末の世には、多くの者が財貨をもって外戚に取り入り、女性の口添えを騒がせ動かした。地方長官に任じられた者は、印綬は輝き、車馬は光り輝き、栄誉は一族九族に及び、一時の富貴を得た。しかし政権担当者に警戒され、そのまま監視された。利によって得たものは、必ず利によって危うくなる。少しでも塵に染まれば、たちまち厳正さから外れる。落とし穴はことのほか深く、傷はまだ癒えない。たとえ死を免れても、家を破らない者はいない。その後になって臍を噛んで悔いても、もう間に合わない。私は南から北に移るまで、一度も時の人と自分の身分を論じたことがない。出世できなかったが、それを咎める気持ちもない。
解説
「利を以て得れば、必ず利を以て殆うし」——利益によって手に入れたものは、利益によって失う。取り入って地位を得た者は、同じ回路で監視され、失脚し、家を破りました。得た手段が、失う経路になるという構造の指摘です。そして結びで顔之推は自分について書きます。南から北まで、一度も自分の処遇を人と論じなかった。だから出世しなかったが、それを咎める気持ちもない。批判した後に自分の実践を置くところが、この書の信頼を支えています。何かを手に入れる手段を選ぶとき、その手段が失うときの経路にもなることを見ておくことです。
この章句が説くこと
財貨を以て外家に托附す利を以て得れば利を以て殆うし臍を噬む手段と失い方
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