顔氏家訓 / 勉學
夫學者所以求益耳。見人讀數十卷書、便自高大、凌忽長者、輕慢同列、人疾之如讎敵、惡之如鴟梟。如此以學自損、不如無學也。
新字:夫学者所以求益耳。見人読数十巻書、便自高大、凌忽長者、軽慢同列、人疾之如讎敵、悪之如鴟梟。如此以学自損、不如無学也。
書き下し
夫れ学ぶ者は益を求むる所以なるのみ。人の数十巻の書を読みて、便ち自ら高大にし、長者を凌忽し、同列を軽慢するを見るに、人之を疾むこと讎敵の如く、之を悪むこと鴟梟の如し。此くの如く学を以て自ら損なうは、学無きに如かざるなり。
現代語訳
およそ学ぶというのは、自分に益を得るためである。ところが数十巻の書を読んだだけで、自分を高く大きく見せ、年長者を見下し、同僚を軽んじる者がいる。人はこれを敵のように憎み、梟のように嫌う。このように学問によって自分を損なうくらいなら、学ばないほうがましである。
解説
学びの副作用についての一段です。数十巻読んだだけで年長者を見下し、同僚を軽んじる。結果として周囲から敵のように憎まれる。「学を以て自ら損なう」——学んだせいで前より状態が悪くなる。これを顔之推は、学ばないより悪いと断じます。厳しい判定です。新しい知識を得た直後は、それを持っていない人が愚かに見えます。その時期に何をするかで、その学びが資産になるか負債になるかが決まる。資格を取った人、研修から戻った人、新しい理論を知った人が、周囲との関係を壊すのはよくあることです。学んだ量ではなく、学んだ後の振る舞いが問われています。
この章句が説くこと
学は益を求むる所以長者を凌忽す学を以て自ら損なう学びの副作用学問
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