学問のすゝめ / 十三編・怨望の人間に害あるを論ず・政治のみを改革するもその源を除くべきにあらず
人民の言路を塞ぎ、その業作を妨ぐるは、もっぱら政府上に関して、にわかにこれを聞けば、ただ政治に限りたる病のごとくなれども、この病は必ずしも政府のみに流行するものにあらず、人民の間にも行なわれて、毒を流すこともっともはなはだしきものなれば、政治のみを改革するもその源を除くべきにあらず。今また数言を巻末に付し、政府のほかにつきてこれを論ずべし。
書き下し
人民の言路を塞ぎ、その業作を妨ぐるは、もっぱら政府上に関して、にわかにこれを聞けば、ただ政治に限りたる病のごとくなれども、この病は必ずしも政府のみに流行するものにあらず、人民の間にも行なわれて、毒を流すこともっともはなはだしきものなれば、政治のみを改革するもその源を除くべきにあらず。今また数言を巻末に付し、政府のほかにつきてこれを論ずべし。
現代語訳
人民の言論の道を塞ぎ、その仕事を妨げるのはもっぱら政府に関わることで、急にこれを聞けばただ政治に限った病のようですが、この病は必ずしも政府だけに流行するものではなく、人民の間にも行われて毒を流すことが最も甚だしいものですから、政治だけを改革してもその源を除くことはできません。今また数言を巻末に付け、政府以外について論じましょう。
解説
議論の向きが変えられます。言論を塞ぐのは政府だけの病ではなく、人民の間でこそ甚だしい、と。だから政治改革だけでは源を絶てない。制度を批判してきた編が、最後に読者自身へ矛先を向ける構成です。上を変えれば解決するという期待をここで断ち切り、日常の付き合いの中にある同じ病を巻末で検討すると予告しています。
この章句が説くこと
政府人民病改革自己
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