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学問のすゝめ / 五編・明治七年一月一日の詞・人民独立の気力、すなわちこれなり

国の文明は形をもって評すべからず。学校と言い、工業と言い、陸軍と言い、海軍と言うも、みなこれ文明の形のみ。この形を作るは難きにあらず、ただ銭をもって買うべしといえども、ここにまた無形の一物あり、この物たるや、目見るべからず、耳聞くべからず、売買すべからず、貸借すべからず、あまねく国人の間に位してその作用はなはだ強く、この物あらざればかの学校以下の諸件も実の用をなさず、真にこれを文明の精神と言うべき至大至重のものなり。けだしその物とはなんぞや。いわく、人民独立の気力、すなわちこれなり。

書き下し

国の文明は形をもって評すべからず。学校と言い、工業と言い、陸軍と言い、海軍と言うも、みなこれ文明の形のみ。この形を作るは難きにあらず、ただ銭をもって買うべしといえども、ここにまた無形の一物あり、この物たるや、目見るべからず、耳聞くべからず、売買すべからず、貸借すべからず、あまねく国人の間に位してその作用はなはだ強く、この物あらざればかの学校以下の諸件も実の用をなさず、真にこれを文明の精神と言うべき至大至重のものなり。けだしその物とはなんぞや。いわく、人民独立の気力、すなわちこれなり。

現代語訳

国の文明は形によって評価してはなりません。学校といい、工業といい、陸軍といい、海軍といっても、みなこれは文明の形にすぎません。この形を作るのは難しくなく、ただ金で買えます。しかしここにまた形のない一つのものがあります。この物は、目に見えず、耳に聞こえず、売買もできず、貸し借りもできない。広く国民の間にあって、その働きは非常に強く、これがなければあの学校以下の諸々も実際の役に立たない。真にこれを文明の精神と言うべき、この上なく大きく重いものです。ではその物とは何か。人民の独立の気力、すなわちこれです。

解説

五編の中心命題です。文明を形と精神に分け、形は金で買えると言い切る。学校も工業も軍備も買える。買えないものは何かと問い、目に見えず売買も貸借もできないものを挙げ、最後に名を与えます。人民独立の気力。これが無ければ買った形はすべて役に立たないという構造で、設備投資と組織の気風の関係をそのまま言い当てた一段です。

この章句が説くこと

文明精神気力土台

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