淮南子 / 泰族訓
故舜深藏黃金於嶄岩之山,所以塞貪鄙之心也。儀狄為酒,禹飲而甘之,遂疏儀狄而絕旨酒,所以遏流湎之行也。師延為平公鼓朝歌北鄙之音,師曠曰:「此亡國之樂也。」大息而撫之,所以防淫辟之風也。
新字:故舜深蔵黄金於嶄岩之山,所以塞貪鄙之心也。儀狄為酒,禹飲而甘之,遂疏儀狄而絶旨酒,所以遏流湎之行也。師延為平公鼓朝歌北鄙之音,師曠曰:「此亡国之楽也。」大息而撫之,所以防淫辟之風也。
書き下し
故に舜 黃金を嶄岩の山に深藏するは、貪鄙の心を塞ぐ所以なり。儀狄 酒を爲る。禹 飲みて之を甘しとす。遂に儀狄を疏んじて旨酒を絕つは、流湎の行を遏むる所以なり。師延 平公の爲に朝歌北鄙の音を鼓す。師曠曰く「此れ亡國の樂なり」と。大息して之を撫するは、淫辟の風を防ぐ所以なり。
現代語訳
舜が黄金を険しい山に深く埋めたのは、貪り卑しむ心を塞ぐためである。儀狄が酒を造った。禹は飲んで、うまいと思った。そして儀狄を遠ざけ、うまい酒を断った。溺れる行いを未然に止めるためである。師延が平公のために朝歌北鄙の調べを奏でた。師曠は「これは亡国の楽です」と言い、大きく息をついて手で止めた。みだらな風を防ぐためである。
解説
禹は酒を嫌ったのではありません。うまいと思った。だからこそ造った者を遠ざけ、断ちました。自分が弱いと分かった時点で、手が届かないところに置く。舜が黄金を埋めたのも同じ形です。意志で抑えるのではなく、近づけない仕組みを作る。「其の源を觀て其の流れを知る」を、自分に対して使った例です。
この章句が説くこと
舜黄金を嶄岩の山に深蔵するは貪鄙の心を塞ぐ所以なり儀狄酒を為る禹飲みて之を甘しとす遂に儀狄を疏んじて旨酒を絶つは流湎の行を遏むる所以なり師延平公の為に朝歌北鄙の音を鼓す師曠曰く此れ亡国の楽なり大息して之を撫するは淫辟の風を防ぐ所以なり自制
関連する章句
-
孫子・虚実篇孫子曰く、凡そ先に戦地に処して敵を待つ者は佚く、後に戦地に処して戦いに趨く者は労す。
-
戦国策・或謂公仲或るひと公仲に謂いて曰く、「今一舉にして以て主に忠にし、國に便にし、身に利する可き有り、願わくは公の之を行わんことを。今天下散じて秦に事うれば、則ち韓最も輕んぜられん。天下合して秦を離るれば、則ち韓最も弱からん。合離の相續けば、則ち韓最も先に危うからん。此れ君國長民の大患なり。今公韓を以て先に秦に合すれば、天下之に隨わん、是れ韓天下を以て秦に事うるなり、秦の韓を德とすること厚し。韓天下と與に秦に朝すれども、獨り厚く德を取れば、公の之を行うの計、是れ其の主に於けるや至忠なり。天下秦に合せず、秦令すれども聽かざれば、秦必ず兵を起こして服せざるを誅せん。秦久しく天下と怨みを結び難を構え、兵決せず、韓士民を息めて以て其の亹を待たば、公の之を行うの計、是れ其の國に於けるや、大便なり。昔者周佼西周を以て秦に善くして、梗陽に封ぜられ、周啟東周を以て秦に善くして、平原に封ぜらる。今公韓を以て秦に善くすれば、韓の兩周に重きこと計る無く、秦の機を爭うや、周の時より萬なり。今公韓を以て天下に先んじて秦に合すれば、秦必ず公を以て諸侯と為し、以て明らかに天下に示さん、公の之を行うの計、是れ其の身に於けるや大利なり。願わくは公の務めを加えんことを。」
-
尉繚子・戰威善く兵を用うる者は、能く人を奪いて人に奪われず。
-
葉隠・聞書第一鉄山(てつざん)、老後に申し候は、「取手は相撲には違い、一旦(いったん)下になりても、後に勝ちさえすれば済む事と心得罷(まか)り在り。近年存じ当たり候は、一旦下になりて居る時、若(も)し誰(だれ)ぞ取りさかえ候わば負けになるべし。始めに勝つが始終の勝ちなり。」と申され候由。
-
孫子・虚実篇夫れ兵の形は水に象る。水の行くは高きを避けて下きに趨く。兵の勝つは実を避けて虚を撃つ。
-
李衛公問対・卷上兵を善く用うる者は、先ず測る可からざるを為せば、則ち敵は其の之く所に乖く。