淮南子 / 泰族訓
故寒暑燥濕,以類相從;聲響疾徐,以音應也。故《易》曰:「鳴鶴在陰,其子和之。」高宗諒暗,三年不言,四海之內寂然無聲;一言聲然,大動天下。是以天心呿唫者也,故一動其本而百枝皆應,若春雨之灌萬物也,渾然而流,沛然而施,無地而不澍,無物而不生。
新字:故寒暑燥湿,以類相従;声響疾徐,以音応也。故《易》曰:「鳴鶴在陰,其子和之。」高宗諒暗,三年不言,四海之内寂然無声;一言声然,大動天下。是以天心呿唫者也,故一動其本而百枝皆応,若春雨之灌万物也,渾然而流,沛然而施,無地而不澍,無物而不生。
書き下し
故に寒暑燥濕は、類を以て相い從う。聲響疾徐は、音を以て應ずるなり。故に易に曰く「鳴鶴 陰に在り、其の子 之に和す」と。高宗 諒暗し、三年 言わず、四海の內 寂然として聲無し。一たび言いて聲然として、大いに天下を動かす。是れ天心を以て呿唫する者なり。故に一たび其の本を動かせば百枝 皆な應ず。春雨の萬物に灌ぐが若きは、渾然として流れ、沛然として施し、地として澍がざる無く、物として生ぜざる無し。
現代語訳
寒暑や乾湿は、同じ類のものが互いに従う。音の響きや速さは、同じ音が応じ合う。だから『易』に「鶴が物陰で鳴けば、その子が和して鳴く」とある。殷の高宗は喪に服して三年ものを言わず、天下は静まりかえって声もなかった。一度口を開くと、その声が響いて、大いに天下を動かした。これは天の心をもって口を開いた者である。だから、根本を一度動かせば、百の枝がみな応じる。春の雨が万物に注ぐように、まるごと流れ、あふれるように施され、注がれない地はなく、生えない物はない。
解説
「鳴鶴 陰に在り、其の子 之に和す」。姿は見えなくても、同じ質のものが応じ合う。高宗は三年黙っていて、一度言葉を発しただけで天下が動きました。黙っていた三年が空白ではなく、そこに溜まっていたから響いた、という話です。「一たび其の本を動かせば百枝 皆な應ず」。枝を一本ずつ揺らす必要はありません。黙っていた三年は空白ではなく、溜めた時間だったという読み方です。
この章句が説くこと
寒暑燥湿は類を以て相い従う声響疾徐は音を以て応ずるなり易に曰く鳴鶴陰に在り其の子之に和す高宗諒暗し三年言わず四海の内寂然として声無し一たび言いて声然として大いに天下を動かす一たび其の本を動かせば百枝皆な応ず感応
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