淮南子 / 脩務訓
夫雁順風,以愛氣力,銜蘆而翔,以備矰弋。螘知為垤,獾貉為曲穴,虎豹有茂草,野彘有艽莦,槎櫛堀虛,連比以像宮室,陰以防雨,景以蔽日。此亦鳥獸之所以知求合於其所利。今使人生於辟陋之國,長於窮櫩漏室之下,長無兄弟,少無父母,目未嘗見禮節,耳未嘗聞先古,獨守專室而不出門,使其性雖不愚,然其知者必寡矣。
新字:夫雁順風,以愛気力,銜蘆而翔,以備矰弋。螘知為垤,獾貉為曲穴,虎豹有茂草,野彘有艽莦,槎櫛堀虚,連比以像宮室,陰以防雨,景以蔽日。此亦鳥獣之所以知求合於其所利。今使人生於辟陋之国,長於窮櫩漏室之下,長無兄弟,少無父母,目未嘗見礼節,耳未嘗聞先古,独守専室而不出門,使其性雖不愚,然其知者必寡矣。
書き下し
夫れ雁は風に順いて、以て氣力を愛しみ、蘆を銜みて翔り、以て矰弋に備う。螘は垤を爲るを知り、獾貉は曲穴を爲り、虎豹は茂草有り、野彘は艽莦有り、槎櫛堀虛して、連比して以て宮室に像り、陰にして以て雨を防ぎ、景にして以て日を蔽う。此れ亦た鳥獸の其の利する所に合するを求むるを知る所以なり。今 人をして辟陋の國に生まれ、窮櫩漏室の下に長ぜしめ、長じて兄弟無く、少くして父母無く、目 未だ嘗て禮節を見ず、耳 未だ嘗て先古を聞かず、獨り專室を守りて門を出でざらしめば、其の性 愚ならずと雖も、然れども其の知る者 必ず寡なからん。
現代語訳
雁は風に順って飛んで力を惜しみ、葦をくわえて飛んで矢に備える。蟻は塚を作ることを知り、穴熊や貉は曲がった穴を掘り、虎や豹は茂った草をねぐらにし、猪は草の茂みを使う。枝を折り並べ、地を掘りくぼめて、つなぎ合わせて家のようにし、日陰にして雨を防ぎ、覆いにして日を遮る。これも鳥や獣が、自分の利になるものに合わせることを知っているからである。いま人を、辺鄙な国に生まれさせ、傾いた軒と雨漏りのする部屋で育て、長じても兄弟がなく、幼くして父母を失い、目は礼節というものを見たことがなく、耳は昔のことを聞いたことがなく、ひとり部屋にこもって門を出ないようにさせたなら、その性が愚かでなくても、知っていることは必ず乏しいだろう。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
説苑・奉使晏子將に荊に使いせんとす。荊王之を聞き、左右に謂いて曰く、「晏子は賢人なり。今方に來らんとす。之を辱めんと欲す、何を以てせん。」左右對えて曰く、「其の來るに爲り、臣請う一人を縛りて王を過りて行かしめん。」是に於て荊王晏子と立ちて語る。一人を縛る有り、王を過りて行く。王曰く、「何を爲す者ぞ。」對えて曰く、「齊人なり。」王曰く、「何の坐ぞ。」曰く、「盜に坐す。」王曰く、「齊人固より盜するか。」晏子反顧して之に曰く、「江南に橘有り、齊王人をして之を取りて江北に樹えしむるに、生じて橘と爲らず、乃ち枳と爲る。然る所以は何ぞ。其の土地之をして然らしむるなり。今齊人齊に居りて盜せず、荊に來りて盜す、土地之をして然らしむる無きを得んか。」荊王曰く、「吾子を傷つけんと欲して反りて自ら中れり。」
-
論語・衛霊公篇子貢、仁を為すを問う。子曰く、「工、其の事を善くせんと欲すれば、必ず先ず其の器を利くす。是の邦に居るや、其の大夫の賢者に事え、其の士の仁者を友とす。」
-
孫子・始計篇天とは、陰陽・寒暑・時制なり。
-
孟子・盡心章句下孟子曰く、「君子の陳蔡の閒に戹するは、上下の交わり無ければなり。」
-
孟子・滕文公章句下孟子、戴不勝に謂いて曰く、「子は子の王の善ならんことを欲するか。我明らかに子に告げん。此に楚の大夫有らんに、其の子の齊語せんことを欲すれば、則ち齊人をして諸に傅たらしめんか。楚人をして諸に傅たらしめんか。」曰く、「齊人をして之に傅たらしめん。」曰く、「一齊人之に傅たるも、衆楚人之を咻せば、雖日に撻(むちうつ)ちて其の齊たらんことを求むと雖も、得可からず。引いて之を莊嶽の間に置くこと數年ならば、日に撻ちて其の楚たらんことを求むと雖も、亦た得可からず。子、薛居州を善士と謂い、之をして王の所に居らしむ。王の所に在る者、長幼卑尊、皆薛居州ならば、王は誰と與にか不善を為さん。王の所に在る者、長幼卑尊、皆薛居州に非ざれば、王は誰と與にか善を為さん。一薛居州、獨り宋王を如何せん。」 <語釈> ○「咻」、音はキュウ、義はかまびすしくすること。○「莊嶽」、顧炎武云う、莊は是れ街の名、嶽は是れ里の名。
-
呂氏春秋・用眾⑤戎人は戎に生まれ、戎に長じて戎言し、其の之を受くる所を知らず。楚人は楚に生まれ、楚に長じて楚言し、其の之を受くる所を知らず。今、楚人をして戎に長ぜしめ、戎人をして楚に長ぜしめば、則ち楚人は戎言し、戎人は楚言す。是に由り之を觀れば、吾未だ亡國の主の以て賢主と為る可からざるを知らざるなり。其の生長する所の者可ならざるのみ。故に生長する所は察せざる可からざるなり。