淮南子 / 人間訓
當此之時,男子不得脩農畝,婦人不得剡麻考縷,羸弱服格於道,大夫箕會於衢,病者不得養,死者不得葬。於是陳勝起於大澤,奮臂大呼,天下席卷,而至於戲。劉、項興義兵隨,而定若折槁振落,遂失天下。禍在備胡而利越也。欲知築脩城以備亡,不知築脩城之所以亡也;發適戍以備越,而不知難之從中發也。夫鵲先識歲之多風也,去高木而巢扶枝,大人過之則探鷇,嬰兒過之則挑其卵,知備遠難而忘近患。故秦之設備也,烏鵲之智也。
新字:当此之時,男子不得脩農畝,婦人不得剡麻考縷,羸弱服格於道,大夫箕会於衢,病者不得養,死者不得葬。於是陳勝起於大沢,奮臂大呼,天下席巻,而至於戯。劉、項興義兵随,而定若折槁振落,遂失天下。禍在備胡而利越也。欲知築脩城以備亡,不知築脩城之所以亡也;発適戍以備越,而不知難之従中発也。夫鵲先識歳之多風也,去高木而巣扶枝,大人過之則探鷇,嬰児過之則挑其卵,知備遠難而忘近患。故秦之設備也,烏鵲之智也。
書き下し
此の時に當たり、男子は農畝を脩むるを得ず、婦人は麻を剡り縷を考うるを得ず。羸弱 道に服格し、大夫 衢に箕會し、病む者は養わるるを得ず、死する者は葬らるるを得ず。是に於いて陳勝 大澤に起こり、臂を奮いて大呼すれば、天下 席卷して、戲に至る。劉・項 義兵を興して隨い、定むること槁を折り落を振るうが若し。遂に天下を失う。禍は胡に備えて越を利とするに在り。脩城を築きて以て亡を備うるを知りて、脩城を築くの亡ぶる所以を知らず。適戍を發して以て越に備うるも、難の中從り發するを知らざるなり。夫れ鵲は先んじて歲の風多きを識るや、高木を去りて扶枝に巢くう。大人 之を過ぐれば則ち鷇を探り、嬰兒 之を過ぐれば則ち其の卵を挑む。遠き難に備うるを知りて近き患を忘るるなり。故に秦の備えを設くるや、烏鵲の智なり。
現代語訳
このとき、男は畑を耕すことができず、女は麻をしごき糸を績むことができなかった。弱った者が道に倒れ、役人は街頭で取り立て、病人は養われず、死者は葬られなかった。そこで陳勝が大沢に立ち、腕を振るって大声を上げると、天下は席を巻くように従い、戯の地まで及んだ。劉邦と項羽が義兵を挙げて続き、平定するのは枯れ枝を折り落ち葉を払うようだった。こうしてついに天下を失った。禍は、胡に備え越に利を求めたところにあった。長城を築いて滅亡に備えることは知っていて、長城を築くことこそが滅亡の因だとは知らなかった。罪人を徴発して越に備えながら、難が内から起こることを知らなかった。鵲は、その年に風が多いことを先に察すると、高い木を去って低い枝に巣をかける。すると大人が通れば雛を探られ、子どもが通れば卵をつつかれる。遠い難に備えることを知って、近い患を忘れたのである。秦が備えを設けたのは、この鵲の知恵である。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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孫子・虚実篇故に前に備うれば則ち後寡なく、後に備うれば則ち前寡なし。左に備うれば則ち右寡なく、右に備うれば則ち左寡なし。備えざる所無ければ、則ち寡なからざる所無し。寡なき者は人に備うる者なり、衆き者は人をして己に備えしむる者なり。
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葉隠・聞書第一覺りの士というのは、事に逢って仕(し)たるように、前方に、それぞれの仕様(しよう)を吟味し置いて、その時に出合い、仕果(しはた)す者である。不覺の士というのは、その時に至って前方に穿鑿せぬのは、不覺の士と申す。
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孟子・公孫丑章句上孟子曰く、「仁なれば則ち榮え、不仁なれば則ち辱めらる。今辱めらるるを惡んで不仁に居るは、是れ猶ほ濕を惡んで下きに居るがごときなり。如し之を惡まば、徳を貴びて士を尊ぶに如くは莫し。賢者位に在り、能者職に在り、國家閒暇なりとせん。是の時に及びて其の政刑を明らかにせば、大國と雖も、必ず之を畏れん。詩に云う、『天の未だ陰雨せざるに迨(およぶ)んで、彼の桑土を徹(とる)り、牖(ユウ)戶を綢繆す。今此の下民、敢て予を侮どること或らんや。』孔子曰く、『此の詩を為りし者は、其れ道を知れるか。』能く其の國家を治めば、誰か敢て之を侮らん。今國家閒暇なりとせん。是の時に及んで般樂怠敖せば、是れ自ら禍を求むるなり。禍ᐻは己自り之を求めざる者無し。詩に云う『永く言、命を配し、自ら多ᐻを求む。』太甲に曰く、『天の作せる孼は猶ほ違く可し。自ら作せる孼は活く可からず。』此を之れ謂うなり。」
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尚書・說命中惟れ事を事とするに、乃ち其れ備え有り、備え有れば患い無し。
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孫子・始計篇その備えなき所を攻め、その意に出でざる所に出づ。
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孫子・虚実篇その趨かざる所に出で、その意わざる所に趨く。