淮南子 / 兵略訓
故善用兵者,上隱之天,下隱之地,中隱之人。隱之天者,無不制也。何謂隱之天?大寒甚暑,疾風暴雨,大霧冥晦,因此而為變者也。何謂隱之地?山陵丘阜,林叢險阻,可以伏匿而不見形者也。何謂隱之人?蔽之於前,望之於後,出奇行陳之間,發如雷霆,疾如風雨,扌搴巨旗,止鳴鼓,而出入無形,莫知其端緒者也。
新字:故善用兵者,上隠之天,下隠之地,中隠之人。隠之天者,無不制也。何謂隠之天?大寒甚暑,疾風暴雨,大霧冥晦,因此而為変者也。何謂隠之地?山陵丘阜,林叢険阻,可以伏匿而不見形者也。何謂隠之人?蔽之於前,望之於後,出奇行陳之間,発如雷霆,疾如風雨,扌搴巨旗,止鳴鼓,而出入無形,莫知其端緒者也。
書き下し
故に善く兵を用うる者は、上は之を天に隱し、下は之を地に隱し、中は之を人に隱す。之を天に隱す者は、制せざる無きなり。何をか之を天に隱すと謂う。大寒甚暑、疾風暴雨、大霧冥晦、此に因りて變を爲す者なり。何をか之を地に隱すと謂う。山陵丘阜、林叢險阻、以て伏匿して形を見わさざる可き者なり。何をか之を人に隱すと謂う。之を前に蔽い、之を後に望み、奇を行陳の間に出だし、發すること雷霆の如く、疾きこと風雨の如く、巨旗を扌搴げ、鳴鼓を止め、而して出入 形無く、其の端緒を知る莫き者なり。
現代語訳
だからよく兵を用いる者は、上は天に隠し、下は地に隠し、中は人に隠す。天に隠すとは、制せられないもののことである。何を天に隠すというか。大寒や酷暑、疾風や暴雨、濃霧や暗さ、これらに乗じて変化を作ることである。何を地に隠すというか。山や丘、林や藪や険しい地形で、伏せ隠れて形を見せないことである。何を人に隠すというか。前で覆い、後ろから望み、奇を隊列のあいだに出し、発することは雷のようで、速いことは風雨のようで、大きな旗を掲げ、鳴り太鼓を止めて、出入りにかたちがなく、その糸口を誰にも知られないことである。
解説
隠す場所を三つに分けます。天は天候、地は地形、人は隊列と動き。どれも別に用意するものではなく、すでにそこにあるものを使って自分を見えなくする。とくに人に隠すの説明が面白くて、前で覆い後ろから望み、旗は掲げるのに太鼓は止める。見せる要素と消す要素を組み合わせて、全体の輪郭を消しています。
この章句が説くこと
善く兵を用うる者は上は之を天に隠し下は之を地に隠し中は之を人に隠す大寒甚暑疾風暴雨大霧冥晦此に因りて変を為す者なり山陵丘阜林叢険阻以て伏匿して形を見わさざる可き者なり之を前に蔽い之を後に望み奇を行陳の間に出だす出入形無く其の端緒を知る莫き者なり隠
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