淮南子 / 兵略訓
夫有形埒者,天下訟見之;有篇籍者,世人傳學之。此皆以形相勝者也。善形者弗法也,所貴道者,貴其無形也。無形則不可制迫也,不可度量也,不可巧詐也,不可規慮也。智見者,人為之謀;形見者,人為之功;眾見者,人為之伏;器見者,人為之備。動作周還,倨句詘伸,可巧詐者,皆非善者也。
新字:夫有形埒者,天下訟見之;有篇籍者,世人伝学之。此皆以形相勝者也。善形者弗法也,所貴道者,貴其無形也。無形則不可制迫也,不可度量也,不可巧詐也,不可規慮也。智見者,人為之謀;形見者,人為之功;眾見者,人為之伏;器見者,人為之備。動作周還,倨句詘伸,可巧詐者,皆非善者也。
書き下し
夫れ形埒有る者は、天下 訟く之を見る。篇籍有る者は、世人 之を傳え學ぶ。此れ皆な形を以て相い勝つ者なり。善く形する者は法らざるなり。道を貴ぶ所以の者は、其の無形を貴べばなり。無形なれば則ち制迫す可からず、度量す可からず、巧詐す可からず、規慮す可からず。智 見わるれば、人 之が謀を爲す。形 見わるれば、人 之が功を爲す。眾 見わるれば、人 之が伏を爲す。器 見わるれば、人 之が備を爲す。動作周還、倨句詘伸、巧詐す可き者は、皆な善き者に非ざるなり。
現代語訳
輪郭のあるものは、天下がこぞってそれを見る。書物になったものは、世の人がそれを伝え学ぶ。これはみな、形によって競い合うものである。よく形を扱う者は、それに拠らない。道を貴ぶのは、そのかたちのなさを貴ぶからである。かたちがなければ、押さえつけられず、測られず、だまされず、はかられない。知恵が見えれば、人はそれに対して謀をめぐらす。形が見えれば、人はそれを手柄の材料にする。人数が見えれば、人はそれに伏兵を置く。武具が見えれば、人はそれに備える。動きも回り方も、屈み伸びも、だませるようなものは、みな善いものではない。
解説
四つの「見わるれば」が並びます。知恵が見えれば謀られ、形が見えれば手柄にされ、人数が見えれば伏兵を置かれ、武具が見えれば備えられる。見せた分だけ、相手の手が増える。だから「道を貴ぶ所以の者は、其の無形を貴べばなり」。かたちがなければ、押さえも測りもだましも効かない、と四つ重ねて言います。
この章句が説くこと
形埒有る者は天下訟く之を見る道を貴ぶ所以の者は其の無形を貴べばなり無形なれば則ち制迫す可からず度量す可からず巧詐す可からず智見わるれば人之が謀を為し形見わるれば人之が功を為す器見わるれば人之が備を為す無形
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