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淮南子 / 兵略訓

夫射,儀度不得,則格的不中;驥,一節不用,而千里不至。夫戰而不勝者,非鼓之日也,素行無刑久矣。故得道之兵,車不發軔,騎不被鞍,鼓不振塵,旗不解卷,甲不離矢,刃不嘗血,朝不易位,賈不去肆,農不離野。招義而責之,大國必朝,小城必下。因民之欲,乘民之力,而為之去殘除賊也。故同利相死,同情相成,同欲相助。順道而動,天下為向;因民而慮,天下為鬥。獵者逐禽,車馳人趨,各盡其力,無刑罰之威,而相為斥闉要遮者,同所利也;同舟而濟于江,卒遇風波,百族之子,捷捽招杼船,若左右手,不以相德,其憂同也。

新字:夫射,儀度不得,則格的不中;驥,一節不用,而千里不至。夫戦而不勝者,非鼓之日也,素行無刑久矣。故得道之兵,車不発軔,騎不被鞍,鼓不振塵,旗不解巻,甲不離矢,刃不嘗血,朝不易位,賈不去肆,農不離野。招義而責之,大国必朝,小城必下。因民之欲,乗民之力,而為之去残除賊也。故同利相死,同情相成,同欲相助。順道而動,天下為向;因民而慮,天下為鬥。猟者逐禽,車馳人趨,各尽其力,無刑罰之威,而相為斥闉要遮者,同所利也;同舟而済于江,卒遇風波,百族之子,捷捽招杼船,若左右手,不以相徳,其憂同也。

書き下し

夫れ射は、儀度 得ざれば、則ち格的 中たらず。驥は、一節 用いざれば、千里に至らず。夫れ戰いて勝たざる者は、鼓の日に非ざるなり。素行に刑無きこと久しければなり。故に道を得たるの兵は、車 軔を發せず、騎 鞍を被らず、鼓 塵を振わず、旗 卷を解かず、甲 矢を離れず、刃 血を嘗めず、朝 位を易えず、賈 肆を去らず、農 野を離れず。義を招きて之を責むれば、大國も必ず朝し、小城も必ず下る。民の欲に因り、民の力に乘じて、之が爲に殘を去り賊を除けばなり。故に利を同じくすれば相い死し、情を同じくすれば相い成し、欲を同じくすれば相い助く。道に順いて動けば、天下 向と爲る。民に因りて慮れば、天下 鬥と爲る。獵する者 禽を逐うに、車 馳せ人 趨り、各々其の力を盡くす。刑罰の威無くして、相い爲に闉を斥け要遮する者は、利する所を同じくすればなり。舟を同じくして江を濟るに、卒かに風波に遇えば、百族の子、捷捽招杼して船するに、左右の手の若し。以て相い德とせざるは、其の憂い 同じければなり。

現代語訳

弓は、構えと寸法が定まらなければ、的に当たらない。駿馬は、一つの節が働かなければ、千里には至らない。戦って勝てないのは、太鼓を打った日のせいではない。日ごろの行いに筋目がないままだった期間が長かったからである。だから道を得た兵は、車の止め木を外さず、騎馬は鞍を置かず、太鼓は塵も立てず、旗は巻いたまま、鎧は矢に触れず、刃は血を舐めず、朝廷は座を動かさず、商人は店を離れず、農民は畑を離れない。義を掲げて責めれば、大国も必ず朝し、小城も必ず降る。民の望みに沿い、民の力に乗って、そのために害を除いてやるからである。だから利を同じくする者は互いのために死に、情を同じくする者は互いを成し、欲を同じくする者は互いを助ける。道に従って動けば、天下がその向きになる。民に因って考えれば、天下がその戦いを引き受ける。狩りをするとき、獲物を追って車が走り人が駆け、それぞれ力を尽くす。刑罰の威がないのに、互いのために囲いを開き待ち伏せに回るのは、利するところが同じだからである。同じ舟で川を渡っていて、突然風波に遭えば、どこの誰とも知れぬ者同士が、櫂を掴み舟を操ることが左右の手のようになる。互いに恩に着せないのは、憂いが同じだからである。

解説

「戰いて勝たざる者は、鼓の日に非ざるなり」。負けたのは開戦の日の判断ではなく、それまでの日々に筋目がなかったからだ、と。勝敗が決した瞬間に原因を探すことへの戒めです。後半の同舟の喩えが見事で、風波に遭えば見知らぬ者同士の手が左右の手のように動く。しかも恩に着せない。「其の憂い 同じければなり」。利害が同じであることが、命令より速く人を動かします。

この章句が説くこと

夫れ射は儀度得ざれば則ち格的中たらず戦いて勝たざる者は鼓の日に非ざるなり素行に刑無きこと久しければなり道を得たるの兵は車軔を発せず農野を離れず利を同じくすれば相い死し情を同じくすれば相い成す舟を同じくして江を済るに卒かに風波に遇えば左右の手の若し其の憂い同じければなり日常

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