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淮南子 / 氾論訓

夫夏之將亡,太史令終古先奔於商,三年而桀乃亡。殷之將敗也,太史令向藝先歸文王,朞年而紂乃亡。故聖人之見存亡之跡,成敗之際也,非待鳴條之野,甲子之日也。今謂彊者勝則度地計眾,富者利則量粟稱金,若此,則千乘之君無不霸王者,而萬乘之國無不破亡者矣。存亡之跡,若此其易知也,愚夫惷婦皆能論之。

新字:夫夏之将亡,太史令終古先奔於商,三年而桀乃亡。殷之将敗也,太史令向芸先帰文王,朞年而紂乃亡。故聖人之見存亡之跡,成敗之際也,非待鳴条之野,甲子之日也。今謂彊者勝則度地計眾,富者利則量粟称金,若此,則千乗之君無不覇王者,而万乗之国無不破亡者矣。存亡之跡,若此其易知也,愚夫惷婦皆能論之。

書き下し

夫れ夏の將に亡びんとするや、太史令終古 先に商に奔り、三年にして桀 乃ち亡ぶ。殷の將に敗れんとするや、太史令向藝 先に文王に歸し、朞年にして紂 乃ち亡ぶ。故に聖人の存亡の跡、成敗の際を見るや、鳴條の野、甲子の日を待たざるなり。今 彊き者 勝つと謂わば則ち地を度り眾を計り、富める者 利ありと謂わば則ち粟を量り金を稱らん。此くの若くんば、則ち千乘の君に霸王たらざる者無く、萬乘の國に破亡せざる者無からん。存亡の跡、此くの若く其れ知り易くんば、愚夫惷婦も皆な能く之を論ぜん。

現代語訳

夏が亡びようとしたとき、記録官の終古が先に商へ走り、三年たって桀は亡んだ。殷が敗れようとしたとき、記録官の向芸が先に文王のもとへ帰し、一年たって紂は亡んだ。だから聖人が存亡の跡や成敗の分かれ目を見るのは、鳴条の野や甲子の日を待ってからではない。いま強い者が勝つというなら土地を測り人数を数えればよく、富んだ者が有利というなら穀物を量り金を秤にかければよい。そうであるなら、千乗の君で覇王にならない者はなく、万乗の国で滅びない者はないことになる。存亡の跡がそんなに知りやすいのなら、愚かな男や女でもみな論じられるだろう。

解説

記録官が先に逃げた、という指標が生々しい。中枢で文書を扱う者は、傾きがいちばん早く見える位置にいます。夏では三年前、殷では一年前に去った。「聖人の存亡の跡……を見るや、鳴條の野、甲子の日を待たざるなり」。決戦の日を待って結果を知るのは誰にでもできる、と。土地と人数、穀物と金だけで決まるなら誰も苦労しない、という皮肉も効いています。

この章句が説くこと

夏の将に亡びんとするや太史令終古先に商に奔り三年にして桀乃ち亡ぶ殷の将に敗れんとするや太史令向芸先に文王に帰す聖人の存亡の跡成敗の際を見るや鳴条の野甲子の日を待たざるなり彊き者勝つと謂わば則ち地を度り眾を計る存亡の跡此くの若く其れ知り易くんば愚夫惷婦も皆な能く之を論ぜん兆し

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