淮南子 / 覽冥訓
逮至當今之時,天子在上位,持以道德,輔以仁義,近者獻其智,遠者懷其德,拱揖指麾而四海賓服,春秋冬夏皆獻其貢職,天下混而為一,子孫相代,此五帝之所以迎天德也。夫聖人者,不能生時,時至而弗失也。輔佐有能,黜讒佞之端,息巧辯之說,除刻削之法,去煩苛之事,屏流言之跡,塞朋黨之門,消知能,修太常,隳肢體,絀聰明,大通混冥,解意釋神,漠然若無魂魄,使萬物各複歸其根,則是所修伏犧氏之跡,而反五常之道也。
新字:逮至当今之時,天子在上位,持以道徳,輔以仁義,近者献其智,遠者懐其徳,拱揖指麾而四海賓服,春秋冬夏皆献其貢職,天下混而為一,子孫相代,此五帝之所以迎天徳也。夫聖人者,不能生時,時至而弗失也。輔佐有能,黜讒佞之端,息巧弁之説,除刻削之法,去煩苛之事,屏流言之跡,塞朋党之門,消知能,修太常,隳肢体,絀聰明,大通混冥,解意釈神,漠然若無魂魄,使万物各複帰其根,則是所修伏犠氏之跡,而反五常之道也。
書き下し
當今の時に逮びて、天子 上位に在り、持するに道德を以てし、輔くるに仁義を以てす。近き者は其の智を獻じ、遠き者は其の德を懷き、拱揖指麾して四海賓服し、春秋冬夏 皆な其の貢職を獻ず。天下 混じて一と為り、子孫 相い代わる。此れ五帝の天德を迎うる所以なり。夫れ聖人なる者は、時を生ずる能わず、時 至りて失わざるなり。輔佐に能有らば、讒佞の端を黜け、巧辯の說を息め、刻削の法を除き、煩苛の事を去り、流言の跡を屏け、朋黨の門を塞ぎ、知能を消し、太常を修め、肢體を隳し、聰明を絀け、大いに混冥に通じ、意を解き神を釋き、漠然として魂魄無きがごとく、萬物をして各々復た其の根に歸らしむ。則ち是れ伏犧氏の跡を修めて、五常の道に反る所なり。
現代語訳
いまの時代になって、天子が上の位にあり、道と徳をもって保ち、仁と義をもって補う。近い者はその知恵を献じ、遠い者はその徳を慕い、手を組んで指し示すだけで四海が従い、春夏秋冬それぞれに貢ぎ物を献じる。天下は混じり合って一つとなり、子孫が代を継ぐ。これが五帝が天の徳を迎えたやり方である。そもそも聖人というものは、時を生み出すことはできず、時が至ったときにそれを逃さないだけである。補佐する者に能力があれば、讒言と媚びの糸口を退け、巧みな弁舌の説を止め、削り取るような法を除き、煩わしく苛烈な事を去り、流言の跡を払い、徒党の門を塞ぎ、知恵と才を消し、常の道を修め、体を忘れ、耳と目の鋭さを退け、大いに混沌に通じ、思いを解き心を放ち、漠然として魂も魄もないかのようになって、万物をそれぞれの根に帰らせる。これこそ伏羲の跡を修めて、五常の道に立ち返ることである。
解説
この章句が説くこと
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人物志・材能矯抗の政は、侈を治むるに宜しく、之を以て弊を治むれば則ち残ふ。諧和の政は、新を治むるに宜しく、之を以て旧を治むれば則ち虚し。公刻の政は、姦を糾すに宜しく、之を以て辺を治むれば則ち衆を失ふ。
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論語・顔淵篇季康子、政を孔子に問う。孔子対えて曰く、「政とは、正なり。子帥いるに正を以てせば、孰か敢えて正しからざらん。」
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『慎思録』巻之五天地の間、人を殺すこと最も多き者、四件有り。刑・兵・歳・病なり。刑罰を省き曲直を明らかにすれば、則ち寃死無し。乱源を禁遏すれば、則ち兵死無し。歳の凶なるに方りて、窮民を周恤すれば、則ち餓死無し。医を択びて病を済へば、則ち枉死無し。政に従ふ者、知らざるべからず。
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司馬法・嚴位古自(よ)りの政なり。
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『慎思録』巻之二政を為すの道は、教養の二者、闕くべからず。二者は養を先と為し、教之に次ぐ。是れ先づ養ひて而る後に教ふるなり。舜は先づ后稷をして民に稼穡を教へしめ、五穀熟して民人育す。而る後に契をして司徒と為し、教ふるに人倫を以てせしむ。此れ養ひて而る後に教ふるなり。既に之を養ひ又之を教へて、民従はず。所以に刑有りて其の罪を正し、民をして教へに従はしむるなり。是を以て舜又皐陶に命じ、士と為りて五刑を司らしむ。其の序の紊るべからざること此くの如し。夫れ後世の政にも、亦た刑法有り。既に刑法有れば、則ち復た先づ教へ無かるべからず。孔子曰く、教へずして殺す、之を虐と謂ふ、と。此れ以て聖人の政は、養を先にし中ごろ教へ刑を後にす。蓋し既に養ひ且つ教へて、苟も従はざる者有らば、已むを得ずして刑を用ゐるのみ。
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『慎思録』巻之六君たり吏たる者、卑賤の人に対して、厳威過ぎて高ければ、則ち勢分相隔絶して、下に在る者、其の情を尽くすことを得ずして、下情達せず、其の利害を詳らかにすること能はず。苟も温顔にして言を受くれば、則ち下情通ず。大率政を為すの道は、下情を通ずるを以て善と為す。

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