淮南子 / 天文訓
子午、卯酉為二繩,丑寅、辰巳、未申、戌亥為四鉤。東北為報德之維也,西南為背陽之維,東南為常羊之維,西北為蹏通之維。日冬至則斗北中繩,陰氣極,陽氣萌,故曰冬至為德。日夏至則斗南中繩,陽氣極,陰氣萌,故曰夏至為刑。陰氣極則北至北極,下至黃泉,故不可以鑿地穿井。萬物閉藏,蟄蟲首穴,故曰德在室。陽氣極則南至南極,上至朱天,故不可以夷丘上屋。萬物蕃息,五穀兆長,故曰德在野。日冬至則水從之,日夏至則火從之,故五月火正而水漏,十一月水正而陰勝。陽氣為火,陰氣為水。水勝故夏至溼,火勝故冬至燥。燥故炭輕,溼故炭重。日冬至井水盛,盆水溢,羊脫毛,麋角解,鵲始巢;八尺之修,日中而景丈三尺。日夏至而流黃澤,石精出,蟬始鳴,半夏生,蟁蝱不食駒犢,鷙鳥不搏黃口;八尺之景,脩徑尺五寸。景脩則陰氣勝,景短則陽氣勝。陰氣勝則為水,陽氣勝則為旱。陰陽刑德有七舍。何謂七舍?室、堂、庭、門、巷、術、野。十二月德居室三十日,先日至十五日,後日至十五日而徙,所居各三十日。德在室則刑在野,德在堂則刑在術,德在庭則刑在巷,陰陽相德則刑德合門。八月、二月,陰陽氣均,日夜分平,故曰刑德合門。德南則生,刑南則殺,故曰二月會而萬物生,八月會而草木死。
新字:子午、卯酉為二縄,丑寅、辰巳、未申、戌亥為四鉤。東北為報徳之維也,西南為背陽之維,東南為常羊之維,西北為蹏通之維。日冬至則斗北中縄,陰気極,陽気萌,故曰冬至為徳。日夏至則斗南中縄,陽気極,陰気萌,故曰夏至為刑。陰気極則北至北極,下至黄泉,故不可以鑿地穿井。万物閉蔵,蟄虫首穴,故曰徳在室。陽気極則南至南極,上至朱天,故不可以夷丘上屋。万物蕃息,五穀兆長,故曰徳在野。日冬至則水従之,日夏至則火従之,故五月火正而水漏,十一月水正而陰勝。陽気為火,陰気為水。水勝故夏至溼,火勝故冬至燥。燥故炭軽,溼故炭重。日冬至井水盛,盆水溢,羊脫毛,麋角解,鵲始巣;八尺之修,日中而景丈三尺。日夏至而流黄沢,石精出,蟬始鳴,半夏生,蟁蝱不食駒犢,鷙鳥不搏黄口;八尺之景,脩径尺五寸。景脩則陰気勝,景短則陽気勝。陰気勝則為水,陽気勝則為旱。陰陽刑徳有七舎。何謂七舎?室、堂、庭、門、巷、術、野。十二月徳居室三十日,先日至十五日,後日至十五日而徙,所居各三十日。徳在室則刑在野,徳在堂則刑在術,徳在庭則刑在巷,陰陽相徳則刑徳合門。八月、二月,陰陽気均,日夜分平,故曰刑徳合門。徳南則生,刑南則殺,故曰二月会而万物生,八月会而草木死。
書き下し
子午・卯酉を二繩と為し、丑寅・辰巳・未申・戌亥を四鉤と為す。東北を報德の維と為し、西南を背陽の維と為し、東南を常羊の維と為し、西北を蹏通の維と為す。日冬至なれば則ち斗北のかた繩に中たり、陰氣極まり、陽氣萌す。故に冬至を德と為すと曰う。日夏至なれば則ち斗南のかた繩に中たり、陽氣極まり、陰氣萌す。故に夏至を刑と為すと曰う。陰氣極まれば則ち北のかた北極に至り、下は黃泉に至る。故に以て地を鑿ち井を穿つ可からず。萬物閉藏し、蟄蟲穴に首す。故に德は室に在りと曰う。陽氣極まれば則ち南のかた南極に至り、上は朱天に至る。故に以て丘を夷げ屋を上す可からず。萬物蕃息し、五穀兆長す。故に德は野に在りと曰う。日冬至なれば則ち水之に從い、日夏至なれば則ち火之に從う。故に五月は火正しくして水漏り、十一月は水正しくして陰勝つ。陽氣は火と為り、陰氣は水と為る。水勝つ故に夏至溼り、火勝つ故に冬至燥く。燥く故に炭輕く、溼る故に炭重し。日冬至なれば井水盛んに、盆水溢れ、羊毛を脫し、麋角解け、鵲始めて巢くう。八尺の修、日中にして景一丈三尺。日夏至なれば流黃澤し、石精出で、蟬始めて鳴き、半夏生じ、蟁蝱駒犢を食らわず、鷙鳥黃口を搏たず。八尺の景、脩徑一尺五寸。景脩ければ則ち陰氣勝ち、景短ければ則ち陽氣勝つ。陰氣勝てば則ち水と為り、陽氣勝てば則ち旱と為る。陰陽刑德に七舍有り。何をか七舍と謂う。室・堂・庭・門・巷・術・野なり。十二月、德は室に居ること三十日、日至に先だつこと十五日、日至に後るること十五日にして徙り、居る所各ミ三十日なり。德室に在れば則ち刑は野に在り、德堂に在れば則ち刑は術に在り、德庭に在れば則ち刑は巷に在り、陰陽相い德すれば則ち刑德門を合わす。八月・二月は、陰陽の氣均しく、日夜分かれて平らかなり。故に刑德門を合わすと曰う。德南すれば則ち生じ、刑南すれば則ち殺す。故に二月に會して萬物生じ、八月に會して草木死すと曰う。
現代語訳
子午と卯酉を二本の縄とし、丑寅・辰巳・未申・戌亥を四つの鉤とする。東北を報徳の維、西南を背陽の維、東南を常羊の維、西北を蹏通の維とする。冬至には北斗が北で縄に当たり、陰の気が極まり、陽の気が芽ばえる。だから冬至を徳とする。夏至には北斗が南で縄に当たり、陽の気が極まり、陰の気が芽ばえる。だから夏至を刑とする。陰の気が極まれば北は北極に至り、下は黄泉に至る。だから地を掘り井戸を穿ってはならない。万物は閉じこもり、冬ごもりの虫は穴に頭を向ける。だから徳は室にあるという。陽の気が極まれば南は南極に至り、上は朱天に至る。だから丘を削り屋根を上げてはならない。万物は増え茂り、五穀は伸び始める。だから徳は野にあるという。冬至には水がこれに従い、夏至には火がこれに従う。だから五月は火が正しくて水が漏れ、十一月は水が正しくて陰が勝つ。陽の気は火となり、陰の気は水となる。水が勝つから夏至は湿り、火が勝つから冬至は乾く。乾くから炭は軽く、湿るから炭は重い。冬至には井戸の水が盛んになり、盆の水があふれ、羊は毛を落とし、大鹿は角が落ち、鵲が巣を作り始める。八尺の棒の影は、正午に一丈三尺。夏至には硫黄が潤み、石の精が出、蝉が鳴き始め、半夏が生じ、蚊や虻は子馬や子牛を刺さず、猛禽は雛を襲わない。八尺の棒の影は、長さ一尺五寸。影が長ければ陰の気が勝ち、影が短ければ陽の気が勝つ。陰の気が勝てば水害となり、陽の気が勝てば旱となる。陰陽の刑と徳には七つの宿がある。七舎とは何か。室・堂・庭・門・巷・術・野である。十二か月のうち、徳は室に三十日いて、至の日の十五日前から十五日後までいて移り、それぞれ三十日ずついる。徳が室にあれば刑は野にあり、徳が堂にあれば刑は術にあり、徳が庭にあれば刑は巷にある。陰陽が互いに徳し合えば刑と徳は門で合わさる。八月と二月は陰陽の気が等しく、昼夜が分かれて平らかである。だから刑と徳が門で合わさるという。徳が南に行けば生じ、刑が南に行けば殺す。だから二月に出会って万物が生まれ、八月に出会って草木が死ぬという。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『淮南子』天文訓夏日至れば則ち陰陽に乘ず。是を以て萬物就きて死す。冬日至れば則ち陽陰に乘ず。是を以て萬物仰ぎて生ず。晝なる者は陽の分、夜なる者は陰の分なり。是を以て陽氣勝てば則ち日修くして夜短く、陰氣勝てば則ち日短くして夜修し。帝四維を張り、之を運らすに斗を以てす。月ごとに一辰を徙り、復た其の所に反る。正月は寅を指し、十二月は丑を指し、一歲にして匝り、終わりて復た始まる。寅を指せば、則ち萬物螾螾たるなり、律は太蔟を受く。太蔟なる者は、蔟りて未だ出でざるなり。卯を指せば、卯は則ち茂茂然たり、律は夾鐘を受く。夾鐘なる者は、種始めて莢するなり。辰を指せば、辰は則ち之を振るうなり、律は姑洗を受く。姑洗なる者は、陳きもの去りて新しきもの來たるなり。巳を指せば、巳は則ち生已に定まるなり、律は仲呂を受く。仲呂なる者は、中充ちて大なるなり。午を指せば、午なる者は、忤なり、律は蕤賓を受く。蕤賓なる者は、安んじて服するなり。未を指せば、未は、昧なり、律は林鐘を受く。林鐘なる者は、引きて止むるなり。申を指せば、申なる者は、之を呻くなり、律は夷則を受く。夷則なる者は、其の則を易うるなり、德以て去るなり。酉を指せば、酉なる者は、飽なり、律は南呂を受く。南呂なる者は、任じて大を包むなり。戌を指せば、戌なる者は、滅なり、律は無射を受く。無射は、入りて厭く無きなり。亥を指せば、亥なる者は、閡なり、律は應鐘を受く。應鐘なる者は、其の鐘に應ずるなり。子を指せば、子なる者は、茲なり、律は黃鐘を受く。黃鐘なる者は、鐘已に黃なるなり。丑を指せば、丑なる者は、紐なり、律は大呂を受く。大呂なる者は、旅旅として去るなり。其の卯酉に加うれば、則ち陰陽分かれ、日夜平らかなり。故に曰く、規は生じ矩は殺し、衡は長じ權は藏し、繩は中央に居りて、四時の根と為る、と。
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『淮南子』天文訓兩維の間、九十一度と十六分度の五にして、升日一度を行き、十五日を一節と為し、以て二十四時の變を生ず。斗子を指せば則ち冬至、音は黃鐘に比す。十五日を加えて癸を指せば則ち小寒、音は應鐘に比す。十五日を加えて丑を指せば則ち大寒、音は無射に比す。十五日を加えて報德の維を指せば、則ち陰を越えて地に在り。故に日冬至を距ること四十六日にして立春、陽氣凍解すと曰う。音は南呂に比す。十五日を加えて寅を指せば則ち雨水、音は夷則に比す。十五日を加えて甲を指せば則ち雷驚蟄、音は林鐘に比す。十五日を加えて卯を指して繩に中たる。故に春分すれば則ち雷行くと曰う。音は蕤賓に比す。十五日を加えて乙を指せば則ち清明風至る、音は仲呂に比す。十五日を加えて辰を指せば則ち穀雨、音は姑洗に比す。十五日を加えて常羊の維を指せば、則ち春分盡く。故に四十六日有りて立夏、大風濟むと曰う。音は夾鐘に比す。十五日を加えて巳を指せば則ち小滿、音は太蔟に比す。十五日を加えて丙を指せば則ち芒種、音は大呂に比す。十五日を加えて午を指せば則ち陽氣極まる。故に四十六日有りて夏至と曰う。音は黃鐘に比す。十五日を加えて丁を指せば則ち小暑、音は大呂に比す。十五日を加えて未を指せば則ち大暑、音は太蔟に比す。十五日を加えて背陽の維を指せば則ち夏分盡く。故に四十六日有りて立秋、涼風至ると曰う。音は夾鐘に比す。十五日を加えて申を指せば則ち處暑、音は姑洗に比す。十五日を加えて庚を指せば則ち白露降る、音は仲呂に比す。十五日を加えて酉を指して繩に中たる。故に秋分に雷戒め、蟄蟲北に鄉うと曰う。音は蕤賓に比す。十五日を加えて辛を指せば則ち寒露、音は林鐘に比す。十五日を加えて戌を指せば則ち霜降、音は夷則に比す。十五日を加えて𨂜通の維を指せば、則ち秋分盡く。故に四十六日有りて立冬、草木畢く死すと曰う。音は南呂に比す。十五日を加えて亥を指せば則ち小雪、音は無射に比す。十五日を加えて壬を指せば則ち大雪、音は應鐘に比す。十五日を加えて子を指す。故に曰く、陽は子に生じ、陰は午に生ず、と。陽は子に生ず、故に十一月は日冬至、鵲始めて巢を加え、人氣首に鍾まる。陰は午に生ず、故に五月を小刑と為し、薺・麥・亭歷枯れ、冬生の草木必ず死す。
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『淮南子』天文訓季春三月、豐隆乃ち出でて、以て其の雨を將う。秋三月に至り、地氣藏せず、乃ち其の殺を收め、百蟲蟄伏し、靜居して戶を閉ず。青女乃ち出でて、以て霜雪を降す。十二時の氣を行き、以て仲春二月の夕べに至り、乃ち其の藏を收めて其の寒を閉ず。女夷鼓歌して、以て天和を司り、以て百穀禽鳥草木を長ず。孟夏の月、以て穀禾を熟し、雄鳩長く鳴きて、帝の為に歲を候う。是の故に天其の陰を發せざれば、則ち萬物生ぜず。地其の陽を發せざれば、則ち萬物成らず。天圓く地方に、道は中央に在り。日を德と為し、月を刑と為す。月歸りて萬物死し、日至りて萬物生ず。山を遠ざくれば則ち山氣藏し、水を遠ざくれば則ち水蟲蟄し、木を遠ざくれば則ち木葉槁る。日五日見えざれば、其の位を失うなり。聖人は與せず。
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『淮南子』天文訓太陰戌に在れば、歲名を閹茂と曰い、歲星は翼・軫に舍り、七月を以て之と晨に東方に出で、營室・東壁を對と爲す。太陰亥に在れば、歲名を大淵獻と曰い、歲星は角・亢に舍り、八月を以て之と晨に東方に出で、奎・婁を對と爲す。太陰子に在れば、歲名を困敦と曰い、歲星は氐・房・心に舍り、九月を以て之と晨に東方に出で、胃・昴・畢を對と爲す。太陰丑に在れば、歲名を赤奮若と曰い、歲星は尾・箕に舍り、十月を以て之と晨に東方に出で、觜雟・參を對と爲す。太陰甲子に在れば、刑德東方の宮に合し、常に勝たざる所に徙り、四歲を合して離れ、離るること十六歲にして復た合す。離るる所以の者は、刑中宮に入るを得ずして、木に徙ればなり。太陰の居る所の日を德と爲し、辰を刑と爲す。德は、綱日にして自ら倍し因り、柔日にして勝たざる所に徙る。刑は、水は辰の木、木は辰の水にして、金・火は其の處に立つ。凡そ諸神を徙すに、朱鳥は太陰の前一に在り、鉤陳は後三に在り、玄武は前五に在り、白虎は後六に在り、虚星は鉤陳に乘りて天地襲る。
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『淮南子』時則訓陰陽を制度するに、大制に六度有り。天を繩と為し、地を準と為し、春を規と為し、夏を衡と為し、秋を矩と為し、冬を權と為す。繩なる者は、萬物を繩する所以なり。準なる者は、萬物を準する所以なり。規なる者は、萬物を員かにする所以なり。衡なる者は、萬物を平らかにする所以なり。矩なる者は、萬物を方にする所以なり。權なる者は、萬物を權る所以なり。繩の度たるや、直くして爭わず、脩くして窮まらず、久しくして弊れず、遠くして忘れられず、天と德を合し、神と明を合し、欲する所は則ち得、惡む所は則ち亡ぶ。古より今に及ぶまで、移し匡す可からず、厥の德孔だ密にして、廣大以て容る。是の故に上帝以て物の宗と為す。
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『淮南子』天文訓天地以て設けられ、分かれて陰陽と爲る。陽は陰に生じ、陰は陽に生ず。陰陽相い錯わりて、四維乃ち通じ、或いは死し或いは生じ、萬物乃ち成る。蚑行喙息、人より貴きは莫し。孔竅肢體、皆な天に通ず。天に九重有り、人にも亦た九竅有り。天に四時有り、以て十二月を制す。人にも亦た四肢有り、以て十二節を使う。天に十二月有り、以て三百六十日を制す。人にも亦た十二肢有り、以て三百六十節を使う。故に事を舉げて天に順わざる者は、其の生を逆らう者なり。日冬至を以て來歲の正月朔日を數え、五十日なる者は、民の食足る。五十日に滿たざれば、日に一斗を減じ、餘る日有れば、日に一升を益す。其の歲司有るなり。