長短経 / 定名
見本而知末、執一而應萬、謂之術。〔又曰、擅殺生之柄、通壅塞之塗、權輕重之數、論得失之道、使逺近情偽必見乎上、謂之術。〕
新字:見本而知末、執一而応万、謂之術。〔又曰、擅殺生之柄、通壅塞之塗、権軽重之数、論得失之道、使遠近情偽必見乎上、謂之術。〕
書き下し
本を見て末を知り、一を執りて万に応ず、之を術と謂う。〔又た曰く、殺生の柄を擅にし、壅塞の塗を通じ、軽重の数を権り、得失の道を論じ、遠近の情偽をして必ず上に見わしむ、之を術と謂う。〕
現代語訳
根本を見て末端を知り、一つを押さえて万のことに応じる、これを術という。〔また言う。生殺の権を握り、塞がった道を通じさせ、軽重の度合いをはかり、得失の道を論じ、遠くの者も近くの者も、その本当と偽りが必ず上に見えるようにする、これを術という。〕
解説
術の定義は、根本を見て末端を知り、一つの要を押さえて万のことに応じることです。注の定義はより実務的で、権限を握り、情報の詰まりを通し、物事の重さを量り、遠くの者の実情も上に見えるようにすることだという。術とは小手先の技ではなく、組織全体の要所を押さえ、情報が上まで正しく届く仕組みを持つことなのです。末端を一つずつ追いかけるのではなく、根本を押さえることで全体に応じるのです。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
定名術要所情報統治根本
関連する章句
-
『政談』遊女河原者の種姓の分事並に乞食の締りの事左様なる者を善七手下に付けて乞食の数今は夥しく成りたり、夫を世の風俗にて火をも一つにせぬものなりと云ふより平人とは別境界にへだゝり、乞じきの仲間にはいかなることのあるも平人よりは全く知らぬことなり、近年乞じきの内に火付け多くあるを火罪に成りたるも何十年已前より斯の如く悪事をするかも知る人もなく、気の付く人もなきは別境界に隔りたる故なり、平人と別境界に隔りたるものゝ数夥しなるは、異国人を連来りて夥しく御城下に離し置くが如し、世の移り行くほど增し殖ゆべきなり、尚も末に成りぬらん時には乞食の内より如何様のこと出来すべきも兼て測り難し、既に善七と云ふ者の先祖は景勝の家来に車丹波と云ふものなるが御草履取と成りて東照宮を狙ひ奉り、己が家来をは皆江戸へ連れ来り乞食の内へ入れ置きたるを事あらはれたる時、東照宮広大不思儀の神慮で御免ありて乞食の頭となりたると申し伝ふるなり、是等のたぐひは治めの道には深く恐れ気遣ふべきことなり、
-
尉繚子・原官官なる者は、事の主る所、治を為すの本なり。制なる者は、職もて四民を分かつ、治の分なり。貴爵富禄必ず称ふは、尊卑の体なり。善を好み悪を罰し、比法を正すは、民を会計するの具なり。井地を均しくし、賦斂を節するは、取与の度なり。工人を程(はか)り、器用を備ふるは、匠工の功なり。地を分かち要を塞ぐは、怪を殄(た)ち淫を禁ずるの事なり。法を守り断を稽ふるは、臣下の節なり。法を明らかにし験を稽ふるは、主上の操なり。主守を明らかにし、軽重を等しくするは、臣主の権なり。賞賚を明らかにし、誅責を厳にするは、奸を止むるの術なり。開塞を審らかにし、一道を守るは、政を為すの要なり。下達し上通ずるは、至聡の聴なり。国の有無の数を知るは、其の仂(ろく)を用ふるなり。彼の弱きを知る者は、強の体なり。彼の動くを知る者は、静の決なり。官を文武に分かつは、惟れ王の二術なり。俎豆制を同じくするは、天子の会なり。遊説間諜自ら入る無きは、正議の術なり。諸侯に天子の礼を謹む有り、君民世を継ぐは、王の命を承くるなり。好むを更め常を易へ、王の明徳に違ふは、故に礼以て伐つを得るなり。官に事治無く、上に慶賞無く、民に獄訟無く、国に商賈無きは、何ぞ王の至りなるや。明挙上達するは、王の垂聴に在るなり。
-
言志四録・言志晩録 第百十八条 崎人の話余往年崎に遊び、崎人の話を聞く。曰く、「漢土に不逞の徒有り、多く満州に出奔し、満より再び蕃舶に投ず。故に蕃舶の中往往漢人有りて、之が耳目と為る。憎むべきの甚しきなり。今漢満一家にして、関門厳ならず。奈何ともすべからず」と。此の話徒に聞くべきに非ず。
-
『墨子』迎敵祠凡そ氣を望むに、大将の氣有り、小将の氣有り、往く氣有り、來たる氣有り、敗るる氣有り。能く此を得眀らかにする者は、成敗・吉凶を知る可し。巫・醫・卜を舉げて所有らしめ、長く藥を具え、之を宫にし、善く舍を為る。巫は必ず公社に近くし、必ず之を敬神す。巫卜、以て守に請い、守、獨り巫卜の望むの氣の請を智るのみ。
-
『墨子』號令守樓は質宫に臨みて善く周し、必ず宻に樓を塗り、下をして上を見る無く、上は下を見、下は上に人有ると人無きとを知る無からしむ。守の親しく舉ぐる所の吏の貞亷忠信にして害無く事に任ず可き者は、其の飲食酒肉、禁ずる勿かれ。錢金・布帛・財物は各おの自ら之を守り、慎んで相い盜む勿かれ。葆宫の牆は必ず三重、牆の垣、守る者、皆な瓦釜を牆上に累ぬ。門に吏有り、門里を主る者、筦閉には必ず太守の節を須つ。葆衛には必ず戍卒の重厚なる者を取り、吏の忠信なる者、害無く事に任ず可き者を擇ぶを請う。将衛をして自ら十尺の垣を築き、周く牆を還らしむ。門・閨なる者は、令衛の司馬門に非ず。氣を望む者の舍は必ず太守に近くし、巫の舍は必ず公社に近くし、必ず之を敬神す。巫・祝・史と氣を望む者とは、必ず善言を以て民に告げ、請を以て守上に報じ、守、獨り其の請を知るのみ。氣を望むに與らずして妄りに不善の言を為して民を驚恐せしむれば、斷じて赦す勿かれ。
-
孫子・九地篇能く士卒の耳目を愚にして、之をして知ること無からしむ。其の事を易え、其の謀を革めて、人をして識ること無からしむ。其の居を易え、其の途を迂にして、人をして慮ることを得ざらしむ。