長短経 / 三国権
今議者或欲泛舟徑濟、横行江表、或欲倍道並進、攻其城壘、或欲大佃疆塲觀釁而動。此三者皆取賊之常計、然施之當機則功成、若茍不應節、必貽後患。自治兵已来、出入三載、非掩襲之軍也。賊喪元帥、利存退守。若羅舩津要、堅城清野、横行之計、其殆難㨗也。賊之為寇㡬六十年、君臣偽立、吉㐫同患。若恪蠲其弊天奪之疾、崩潰之應、不可卒待也。今賊設羅落、又持重宻、閒諜不行、耳目無聞。夫軍無耳目、校察未詳、而舉大衆以臨巨險、此為希幸邀功、先戰而後求勝、非全軍之長䇿也。唯有大佃最差完牢、兵出民表、冦鈔不犯、坐食積榖不煩運士、乗舋討襲、無逺勞費此軍之急務也。
新字:今議者或欲泛舟径済、横行江表、或欲倍道並進、攻其城塁、或欲大佃疆塲観釁而動。此三者皆取賊之常計、然施之当機則功成、若苟不応節、必貽後患。自治兵已来、出入三載、非掩襲之軍也。賊喪元帥、利存退守。若羅舩津要、堅城清野、横行之計、其殆難捷也。賊之為寇㡬六十年、君臣偽立、吉凶同患。若恪蠲其弊天奪之疾、崩潰之応、不可卒待也。今賊設羅落、又持重密、閒諜不行、耳目無聞。夫軍無耳目、校察未詳、而舉大衆以臨巨険、此為希幸邀功、先戦而後求勝、非全軍之長策也。唯有大佃最差完牢、兵出民表、寇鈔不犯、坐食積穀不煩運士、乗舋討襲、無遠労費此軍之急務也。
書き下し
今、議する者、或いは舟を汎べて径ちに済り、江表に横行せんと欲し、或いは道を倍にして並び進み、其の城塁を攻めんと欲し、或いは大いに疆場に佃して釁を観て動かんと欲す。此の三者は皆賊を取るの常計なり。然れども之を施すこと機に当たれば則ち功成り、苟も節に応ぜずんば、必ず後患を貽さん。兵を治めしより已来、出入三載、掩襲の軍に非ざるなり。賊は元帥を喪い、利は退守に存す。若し船を津要に羅ね、城を堅くし野を清くせば、横行の計は、其れ殆ど捷ち難からん。賊の寇を為すこと幾ど六十年、君臣偽りて立ち、吉凶患いを同じくす。若し恪其の弊を蠲かば、天の疾を奪う。崩潰の応は、卒かに待つべからざるなり。今、賊は羅落を設け、又た重密を持し、間諜行われず、耳目聞く無し。夫れ軍に耳目無く、校察未だ詳らかならずして、大衆を挙げて以て巨険に臨むは、此れ希幸邀功と為し、先に戦いて後に勝ちを求むるなり。全軍の長策に非ざるなり。唯だ大佃のみ最も差や完牢にして、兵は民の表に出で、寇鈔も犯さず、坐して積穀を食い、運士を煩わさず。釁に乗じて討襲し、遠く労費すること無し。此れ軍の急務なり。
現代語訳
いま議論する者の中には、舟を浮かべてまっすぐ渡り江南を横行しようと言う者、道を倍の速さで並んで進み城砦を攻めようと言う者、国境で大規模に屯田して隙を見て動こうと言う者がいます。この三つはどれも賊を取る普通の計です。しかし時機に合えば成功し、時機に合わなければ必ず後の憂いを残します。兵を整えてから三年、出入りを繰り返しており、不意を襲う軍ではありません。賊は元帥を失い、利は退いて守ることにあります。もし渡し場や要所に船を並べ、城を固め野を空にすれば、横行の計はほとんど勝てないでしょう。賊が寇をなしてから六十年近く、君臣はかりそめに立って吉凶の憂いを共にしてきました。もし諸葛恪が弊害を取り除けば、天の与えた病を取り去ることになり、崩壊の兆しはすぐには期待できません。いま賊は網のような防備を敷き、しかも慎重で秘密を守り、間諜は入れず、耳目に聞こえてくるものがありません。軍に耳目がなく、偵察もまだ詳しくないのに、大軍を挙げて巨大な険しさに臨むのは、まぐれの幸運で功を求めるもので、先に戦ってから勝ちを求めることです。全軍を保つ長い策ではありません。ただ大規模な屯田だけが最も堅実で、兵は民の前に出て守り、敵の略奪も受けず、座ったまま蓄えた穀物を食べ、輸送の兵を煩わせません。隙に乗じて討ち襲い、遠くへ労費をかけることもない。これが軍の急務です」。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『墨子』尚同中故に古者、聖王は唯だ壹に尚同を以て正長と為す。是れ上下、請謁して通を為す。上に隠事遺利有れば、下、得て之を利し、下に蓄怨積害有れば、上、得て之を除く。是を以て數千萬里の外に善を為す者有れば、其の室人未だ徧く知らず、鄉里未だ徧く聞かざるに、天子、得て之を賞す。數千萬里の外に不善を為す者有れば、其の室人未だ徧く知らず、郷里未だ徧く聞かざるに、天子、得て之を罰す。是を以て天下の人を舉げて皆な恐懼振動惕慄して、敢えて淫暴を為さず、曰く、「天子の視聴や神なり」と。先王の言に曰く、「神に非ざるなり。夫れ唯だ能く人の耳目をして己が視聴を助けしめ、人の吻をして己が言談を助けしめ、人の心をして己が思慮を助けしめ、人の股肱をして己が動作を助けしむればなり」と。之を視聴するを助くる者衆ければ、則ち其の聞見する所の者は逺し。之を言談するを助くる者衆ければ、則ち其の徳音の撫循する所の者は博し。之を思慮するを助くる者衆ければ、則ち其の謀慮は速やかに得らる。之を動作するを助くる者衆ければ、則ち其の事を舉ぐること速やかに成る。
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『墨子』尚同下子墨子言いて曰く、「知者の事は、必ず國家百姓の治まる所以の者を計りて之を為し、必ず國家百姓の亂るる所以の者を計りて之を辟く。然らば國家百姓の治まる所以の者を計るに何ぞや。上の政を為すや、下の情を得れば則ち治まり、下の情を得ざれば則ち亂る。何を以て其の然るを知るや。上の政を為すや、下の情を得れば、則ち是れ民の善非に明らかなり。茍くも民の善非に明らかなるが若くんば、則ち善人を得て之を賞し、暴人を得て之を罰するなり。善人賞せられて暴人罰せらるれば、則ち國必ず治まる。上の政を為すや、下の情を得ざれば、則ち是れ民の善非に明らかならず。若し茍くも民の善非に明らかならずんば、則ち是れ善人を得て之を賞せず、暴人を得て之を罰せず。善人賞せられずして暴人罰せられず、政を為すこと此くの若くんば、國衆必ず亂る。故に賞は下の情を得ざれば、而ち察せざる可からざる者なり」と。
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孫子・九地篇能く士卒の耳目を愚にして、之をして知ること無からしむ。其の事を易え、其の謀を革めて、人をして識ること無からしむ。其の居を易え、其の途を迂にして、人をして慮ることを得ざらしむ。
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孫子・用間篇相守ること数年、以て一日の勝を争う。而るに爵禄百金を愛しみて、敵の情を知らざる者は、不仁の至りなり。人の将に非ざるなり、主の佐に非ざるなり、勝の主に非ざるなり。
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孫子・用間篇先知は、鬼神に取るべからず、事に象るべからず、度に験すべからず、必ず人に取り、敵の情を知る者なり。
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『墨子』尚同下是の故に古の聖王の天下を治むるや、千里の外に賢人有り、其の鄉里の人、皆な未だ之を均しく聞き見ざるに、聖王、得て之を賞す。千里の外に暴人有り、其の鄉里、未だ之を均しく見ざるに、聖王、得て之を罰す。故に唯だ聖王を以て耳聡く目明らかなりと為す毋からんや。豈に能く一たび視て千里の外を通見せんや、一たび聴きて千里の外を通聞せんや。聖王は往きて視るにあらざるなり、就きて聴くにあらざるなり。然れども天下の冦亂盜賊を為す者をして、天下を周流するも足を重ぬる所無からしむるは、何ぞや。其の尚同を以て政を為すこと善ければなり。