長短経 / 七雄略
夫伐深根者難為功、摧枯朽者易為力。今五等、深根者也、郡縣、枯朽者也。故自秦以下、迄於周隋、失神器者非侵弱、得天下者非持乆、國勢然也。嗚呼!郡縣而理、則生布衣之心、五等御代、則有縦横之禍。故知法也者、皆有弊焉。非謂侯伯無可亂之符、郡縣非致理之具、但經始圗其多福、慮終取其少禍、故貴於五等耳。聖人知其如此、是以兢兢業業、日慎一日、修徳以鎮之、擇賢而使之。徳修賢擇、黎元樂業。雖有湯武之聖、不能興矣。况於布衣之細、而敢偏袒大呼哉?不可不察。
新字:夫伐深根者難為功、摧枯朽者易為力。今五等、深根者也、郡県、枯朽者也。故自秦以下、迄於周隋、失神器者非侵弱、得天下者非持久、国勢然也。嗚呼!郡県而理、則生布衣之心、五等御代、則有縦横之禍。故知法也者、皆有弊焉。非謂侯伯無可乱之符、郡県非致理之具、但経始図其多福、慮終取其少禍、故貴於五等耳。聖人知其如此、是以兢兢業業、日慎一日、修徳以鎮之、択賢而使之。徳修賢択、黎元楽業。雖有湯武之聖、不能興矣。況於布衣之細、而敢偏袒大呼哉?不可不察。
書き下し
夫れ深根を伐つ者は功を為し難く、枯朽を摧く者は力を為し易し。今、五等は深根なる者なり。郡県は枯朽なる者なり。故に秦より以下、周・隋に迄るまで、神器を失う者は侵弱に非ず、天下を得る者は持久に非ず。国勢然るなり。嗚呼、郡県にして理むれば、則ち布衣の心を生じ、五等もて代を御すれば、則ち縦横の禍有り。故に知る、法なる者は皆弊有ることを。侯伯に乱るべきの符無く、郡県は理を致すの具に非ずと謂うに非ず。但だ経始には其の多福を図り、慮終には其の少禍を取る。故に五等を貴ぶのみ。聖人は其の此くの如きを知る。是を以て兢兢業業として、日に一日を慎み、徳を修めて以て之を鎮め、賢を択びて之を使う。徳修まり賢択ばるれば、黎元業を楽しむ。湯・武の聖有りと雖も、興る能わず。況んや布衣の細にして、敢えて偏袒して大呼せんや。察せざるべからず。
現代語訳
深い根を持つ木を伐るのは難しく、枯れて朽ちた木を砕くのはたやすい。五等の封建は深い根であり、郡県は枯れ木である。だから秦以後、北周・隋に至るまで、天下を失った者は少しずつ侵されて弱ったのではなく、天下を得た者も長く保てなかった。国の形勢がそうさせたのだ。ああ、郡県で治めれば庶民に野心が生まれ、五等で世を治めれば合従連衡の禍がある。だから、どんな法にも弊害があるとわかる。諸侯が乱れる恐れがないとか、郡県が治めるのに役立たないとか言うのではない。ただ始めるときは多くの福を図り、終わりを考えるときは禍の少ないほうを取る。だから五等を尊ぶのである。聖人はそれを知っていた。だから慎みに慎み、一日一日を慎重に過ごし、徳を修めて天下を鎮め、賢者を選んで使った。徳が修まり賢者が選ばれれば、民は仕事を楽しむ。湯王や武王ほどの聖人がいても、取って代わることはできない。まして庶民の身で、片肌脱いで大声を上げることなどできようか。よくよく考えなければならない。
解説

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