長短経 / 覇図
以晉王廣為元帥、督八十總管以致討〔初、隋師送璽書、暴後主惡、三十萬紙、遍諭江東、諸軍既下江、鎮或相繼奏聞、沈客卿掌機宻、抑而不言。隋軍臨江、後主曰、「王氣在此、齊兵三度來、周兵再度至、無不摧沒。虜今來、必自敗。」縱酒作詩不輟。隋軍或進㧞姑孰、或斷曲阿之衝、乃下詔曰、「犬羊凌縱、侵竊郊畿、蜂蠆有毒、宜時掃定。」以蕭摩訶為皇畿大都督、分兵守要害、僧尼道士、執役。隋軍南北道並進、衆軍敗績〕
新字:以晋王広為元帥、督八十総管以致討〔初、隋師送璽書、暴後主悪、三十万紙、遍諭江東、諸軍既下江、鎮或相継奏聞、沈客卿掌機密、抑而不言。隋軍臨江、後主曰、「王気在此、斉兵三度来、周兵再度至、無不摧没。虜今来、必自敗。」縦酒作詩不輟。隋軍或進抜姑孰、或断曲阿之衝、乃下詔曰、「犬羊凌縦、侵窃郊畿、蜂蠆有毒、宜時掃定。」以蕭摩訶為皇畿大都督、分兵守要害、僧尼道士、執役。隋軍南北道並進、衆軍敗績〕
書き下し
晋王広を以て元帥と為し、八十総管を督して以て討を致す。〈初め、隋師、璽書を送り、後主の悪を暴くこと、三十万紙。遍く江東に諭す。諸軍既に江を下る。鎮、或いは相い継ぎて奏聞す。沈客卿、機密を掌り、抑えて言わず。隋軍、江に臨む。後主曰く「王気、此に在り。斉兵三度来たり、周兵再度至るも、摧没せざる無し。虜、今来たるも、必ず自ら敗れん」と。酒を縦にし詩を作りて輟めず。隋軍、或いは進みて姑孰を抜き、或いは曲阿の衝を断つ。乃ち詔を下して曰く「犬羊凌縦し、郊畿を侵竊す。蜂蠆に毒有り。宜しく時に掃定すべし」と。蕭摩訶を以て皇畿大都督と為し、兵を分かちて要害を守らしめ、僧尼道士も役に執わしむ。隋軍、南北道並びに進み、衆軍敗績す。〉
現代語訳
晋王広を元帥とし、八十人の総管を統べて討伐させた。〈はじめ、隋の軍は詔書を送って後主の悪行を暴くこと三十万枚。広く江東に触れ回った。諸軍が長江を下った。各地の鎮が次々と報告した。沈客卿が機密を掌っていて、抑えて伝えなかった。隋軍が長江に臨んだ。後主は言った。「王気はここにある。斉の兵が三度来て、周の兵が二度来たが、いずれも砕けて沈まなかったことはない。敵は今度来ても、必ず自分から敗れる」。酒を飲み詩を作ってやめなかった。隋軍は進んで姑孰を落とし、曲阿の要衝を断った。そこで詔を下した。「犬羊が押し寄せ、都の近郊を侵している。蜂やさそりにも毒がある。時を移さず掃討すべきだ」。蕭摩訶を都の大都督とし、兵を分けて要害を守らせ、僧や尼や道士まで徴用した。隋軍は南北の道から同時に進み、陳の軍は敗れた。〉
解説

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言志四録・言志晩録 第百十八条 崎人の話余往年崎に遊び、崎人の話を聞く。曰く、「漢土に不逞の徒有り、多く満州に出奔し、満より再び蕃舶に投ず。故に蕃舶の中往往漢人有りて、之が耳目と為る。憎むべきの甚しきなり。今漢満一家にして、関門厳ならず。奈何ともすべからず」と。此の話徒に聞くべきに非ず。
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孫子・九地篇能く士卒の耳目を愚にして、之をして知ること無からしむ。其の事を易え、其の謀を革めて、人をして識ること無からしむ。其の居を易え、其の途を迂にして、人をして慮ることを得ざらしむ。
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『墨子』尚同下是の故に古の聖王の天下を治むるや、千里の外に賢人有り、其の鄉里の人、皆な未だ之を均しく聞き見ざるに、聖王、得て之を賞す。千里の外に暴人有り、其の鄉里、未だ之を均しく見ざるに、聖王、得て之を罰す。故に唯だ聖王を以て耳聡く目明らかなりと為す毋からんや。豈に能く一たび視て千里の外を通見せんや、一たび聴きて千里の外を通聞せんや。聖王は往きて視るにあらざるなり、就きて聴くにあらざるなり。然れども天下の冦亂盜賊を為す者をして、天下を周流するも足を重ぬる所無からしむるは、何ぞや。其の尚同を以て政を為すこと善ければなり。
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『政談』養老宴の事惣じて貴人には朋友なきこと欠たること也、貴人の学問も、一切の芸も大名芸と云ものに成て、一切に込らぬは是故なり、殊に政務の道は下の情を能く知らざれは行ふ所図にあたらぬものなり、忍びのものなどを遣はして遠国のことを見せ、近習の臣より下のことを聞くも善きやうなることなれとも、人々面々の了簡のほどならでは見も聞もならぬ物なり、軍に物見を遣はすに武功の人を撰ふことも、手前の器量程ならでは得見ぬ故也、殊に人の情にて下の悪しきことばかりを見出し聞出して、申し上げてよきことは申さぬものなり、されば下のことを見聞んとするにも心得あるべきことなり、殊に御用を承はる筋の人は手前の申し立たき筋の益に成るやうなる筋を多く申し上げるなり、是によりて何としても下の情に疎きこと是貴人の身の上に欠たることなり、