長短経 / 覇図
而使酈生説齊王曰、「王知天下之所歸乎?」王曰、「不知也。」曰、「王知天下之所歸、則齊可得而有也。若王不知天下之所歸、即齊未可得保也。」齊王曰、「天下何歸?」酈生曰、「天下歸漢。」
新字:而使酈生説斉王曰、「王知天下之所帰乎?」王曰、「不知也。」曰、「王知天下之所帰、則斉可得而有也。若王不知天下之所帰、即斉未可得保也。」斉王曰、「天下何帰?」酈生曰、「天下帰漢。」
書き下し
而して酈生をして斉王に説かしめて曰く「王、天下の帰する所を知るか」と。王曰く「知らざるなり」と。曰く「王、天下の帰する所を知らば、則ち斉は得て有つ可きなり。若し王、天下の帰する所を知らずんば、即ち斉は未だ保つ可からざるなり」と。斉王曰く「天下、何くに帰す」と。酈生曰く「天下は漢に帰す」と。
現代語訳
そして酈食其に斉王を説かせた。「王は天下がどこへ帰するかご存じですか」。王は「知らない」と言った。「王が天下の帰する先を知っていれば、斉は保てます。もし知らなければ、斉は保てません」。斉王は言った。「天下はどこへ帰するのか」。酈食其は言った。「天下は漢に帰します」。
解説
短いやり取りですが、構造が巧みです。まず知っているかと問い、知らないと答えさせ、知らなければ国は保てないと言い切る。相手を無知の側に置いてから、答えを教える形に持ち込みました。情報の非対称を作って、聞く姿勢を先に作っています。交渉の最初の数往復で、どちらが教える側になるかが決まります。知らないと認めさせた時点で、話の枠組みは相手のものになっています。
この章句が説くこと
覇図酈食其斉王交渉情報問い
関連する章句
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『墨子』尚同中故に古者、聖王は唯だ壹に尚同を以て正長と為す。是れ上下、請謁して通を為す。上に隠事遺利有れば、下、得て之を利し、下に蓄怨積害有れば、上、得て之を除く。是を以て數千萬里の外に善を為す者有れば、其の室人未だ徧く知らず、鄉里未だ徧く聞かざるに、天子、得て之を賞す。數千萬里の外に不善を為す者有れば、其の室人未だ徧く知らず、郷里未だ徧く聞かざるに、天子、得て之を罰す。是を以て天下の人を舉げて皆な恐懼振動惕慄して、敢えて淫暴を為さず、曰く、「天子の視聴や神なり」と。先王の言に曰く、「神に非ざるなり。夫れ唯だ能く人の耳目をして己が視聴を助けしめ、人の吻をして己が言談を助けしめ、人の心をして己が思慮を助けしめ、人の股肱をして己が動作を助けしむればなり」と。之を視聴するを助くる者衆ければ、則ち其の聞見する所の者は逺し。之を言談するを助くる者衆ければ、則ち其の徳音の撫循する所の者は博し。之を思慮するを助くる者衆ければ、則ち其の謀慮は速やかに得らる。之を動作するを助くる者衆ければ、則ち其の事を舉ぐること速やかに成る。
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『墨子』尚同下子墨子言いて曰く、「知者の事は、必ず國家百姓の治まる所以の者を計りて之を為し、必ず國家百姓の亂るる所以の者を計りて之を辟く。然らば國家百姓の治まる所以の者を計るに何ぞや。上の政を為すや、下の情を得れば則ち治まり、下の情を得ざれば則ち亂る。何を以て其の然るを知るや。上の政を為すや、下の情を得れば、則ち是れ民の善非に明らかなり。茍くも民の善非に明らかなるが若くんば、則ち善人を得て之を賞し、暴人を得て之を罰するなり。善人賞せられて暴人罰せらるれば、則ち國必ず治まる。上の政を為すや、下の情を得ざれば、則ち是れ民の善非に明らかならず。若し茍くも民の善非に明らかならずんば、則ち是れ善人を得て之を賞せず、暴人を得て之を罰せず。善人賞せられずして暴人罰せられず、政を為すこと此くの若くんば、國衆必ず亂る。故に賞は下の情を得ざれば、而ち察せざる可からざる者なり」と。
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孫子・用間篇相守ること数年、以て一日の勝を争う。而るに爵禄百金を愛しみて、敵の情を知らざる者は、不仁の至りなり。人の将に非ざるなり、主の佐に非ざるなり、勝の主に非ざるなり。
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『墨子』尚同下是の故に古の聖王の天下を治むるや、千里の外に賢人有り、其の鄉里の人、皆な未だ之を均しく聞き見ざるに、聖王、得て之を賞す。千里の外に暴人有り、其の鄉里、未だ之を均しく見ざるに、聖王、得て之を罰す。故に唯だ聖王を以て耳聡く目明らかなりと為す毋からんや。豈に能く一たび視て千里の外を通見せんや、一たび聴きて千里の外を通聞せんや。聖王は往きて視るにあらざるなり、就きて聴くにあらざるなり。然れども天下の冦亂盜賊を為す者をして、天下を周流するも足を重ぬる所無からしむるは、何ぞや。其の尚同を以て政を為すこと善ければなり。