長短経 / 反経
資勇悍不以衛上攻戰、而反以侵凌私鬭〔反勇也。凡將帥輕去就者、不可使鎮邉使仁徳守之則安矣。〕心智慧不以端計教、而反以事奸飾非〔反智慧也。《説苑》曰、“君子之權謀正、小人之權謀邪。”〕貌美好不以統朝莅人、而反以蠱女從欲〔反貌也。此五者、所謂士失其美質。〕
新字:資勇悍不以衛上攻戦、而反以侵凌私闘〔反勇也。凡将帥軽去就者、不可使鎮邉使仁徳守之則安矣。〕心智慧不以端計教、而反以事奸飾非〔反智慧也。《説苑》曰、“君子之権謀正、小人之権謀邪。”〕貌美好不以統朝莅人、而反以蠱女従欲〔反貌也。此五者、所謂士失其美質。〕
書き下し
勇悍に資りて上を衛り攻戦するを以てせずして、反って侵陵私闘を以てす。〔勇に反するなり。凡そ将帥の去就を軽んずる者は、辺を鎮めしむ可からず。仁徳をして之を守らしむれば則ち安し。〕心智慧にして計教を端しくするを以てせずして、反って奸に事え非を飾るを以てす。〔智慧に反するなり。説苑に曰く「君子の権謀は正し、小人の権謀は邪なり」と。〕貌美好にして朝に統べ人に莅むを以てせずして、反って女を蠱かし欲に従うを以てす。〔貌に反するなり。此の五つの者は、所謂士の其の美質を失うなり。〕
現代語訳
勇猛さを頼みとしながら、上を守り攻め戦うために使うのではなく、かえって人を侵し私闘に使う。〔勇に反する場合である。将帥で去就を軽んじる者は、辺境を鎮めさせてはならない。仁と徳のある者に守らせれば安らかである。〕心に知恵がありながら、計画と教化を正すために使うのではなく、かえってよこしまに仕え誤りを取り繕うために使う。〔智慧に反する場合である。説苑にこうある。「君子の権謀は正しく、小人の権謀はよこしまである」。〕容貌が美しくありながら、朝廷を統べ人に臨むために使うのではなく、かえって女性を惑わし欲に従うために使う。〔貌に反する場合である。この五つが、いわゆる士がその美質を失うということである。〕
解説
五反がそろいます。共通しているのは、持っているものを何に向けるかだけが問題だという構造です。勇も智も美も、それ自体は良いもの。向く先が公か私かで、まったく逆の結果になる。説苑の一句が核心を突いていて、君子の権謀は正しく小人の権謀はよこしまである。同じ権謀という技術が、使う人の向きで正邪に分かれます。
この章句が説くこと
反経五反勇智慧貌権謀
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