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茶の本 / 第六章 花・翼ある唯一の花は蝶である

どうして花はかくも美しく生まれて、しかもかくまで薄命なのであろう。虫でも刺すことができる。最も温順な動物でも追いつめられると戦うものである。ボンネットを飾るために羽毛をねらわれている鳥はその追い手から飛び去ることができる、人が上着にしたいとむさぼる毛皮のある獣は、人が近づけば隠れることができる。悲しいかな! 翼ある唯一の花と知られているのは蝶であって、他の花は皆、破壊者に会ってはどうすることもできない。彼らが断末魔の苦しみに叫んだとても、その声はわれらの無情の耳へは決して達しない。われわれは、黙々としてわれらに仕えわれらを愛する人々に対して絶えず残忍であるが、これがために、これらの最もよき友からわれわれが見捨てられる時が来るかもしれない。諸君は、野生の花が年々少なくなってゆくのに気はつきませんか。それは彼らの中の賢人どもが、人がもっと人情のあるようになるまでこの世から去れと彼らに言ってきかせたのかもしれない。たぶん彼らは天へ移住してしまったのであろう。

書き下し

どうして花はかくも美しく生まれて、しかもかくまで薄命なのであろう。虫でも刺すことができる。最も温順な動物でも追いつめられると戦うものである。ボンネットを飾るために羽毛をねらわれている鳥は、その追い手から飛び去ることができる。人が上着にしたいとむさぼる毛皮のある獣は、人が近づけば隠れることができる。悲しいかな、翼ある唯一の花と知られているのは蝶であって、他の花は皆、破壊者に会ってはどうすることもできない。彼らが断末魔の苦しみに叫んだとても、その声はわれらの無情の耳へは決して達しない。われわれは、黙々としてわれらに仕えわれらを愛する人々に対して絶えず残忍であるが、これがために、これらの最もよき友からわれわれが見捨てられる時が来るかもしれない。諸君は、野生の花が年々少なくなってゆくのに気はつきませんか。それは彼らのなかの賢人どもが、人がもっと人情のあるようになるまでこの世から去れと彼らに言ってきかせたのかもしれない。たぶん彼らは天へ移住してしまったのであろう。

現代語訳

どうして花はこれほど美しく生まれて、しかもこれほど薄命なのでしょう。虫でも刺すことができます。もっとも温和な動物でも追いつめられれば戦います。帽子を飾るために羽毛を狙われている鳥は、追い手から飛び去ることができます。人が上着にしたいと欲しがる毛皮の獣は、人が近づけば隠れることができます。悲しいことに、翼のある唯一の花として知られるのは蝶であって、他の花は皆、破壊者に会ってはどうすることもできません。彼らが断末魔の苦しみに叫んでも、その声は私たちの無情な耳には決して届きません。私たちは、黙って仕え、私たちを愛してくれる人々に対して絶えず残忍ですが、そのために、これらのもっともよい友から見捨てられる時が来るかもしれません。皆さんは、野生の花が年々少なくなっていくのに気づきませんか。それは彼らの中の賢人たちが、人がもっと人情を持つようになるまでこの世から去れと言い聞かせたのかもしれません。たぶん彼らは天へ移住してしまったのでしょう。

解説

花の無抵抗が、虫や鳥や獣と比べられます。虫は刺し、鳥は飛び、獣は隠れる。花だけが何もできない。翼ある唯一の花は蝶だという一句が美しく、同時に他の花の無力を際立たせます。そして人へ折り返される。黙って仕え愛してくれる者に対して、私たちは絶えず残忍だ、と。野の花が年々減っていくという観察も添えられ、環境への言及としても百年先を見ています。

この章句が説くこと

無抵抗残忍環境弱者警告

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この一句を、あなたの毎日に。

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