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墨子 / 明鬼下

且《周書》獨鬼,而《商書》不鬼,則未足以為法也。然則姑嘗止觀乎《商書》,曰:「嗚呼!古者有夏,方未有禍之時,百獸貞蟲,允及飛鳥,莫不比方。矧住人面,胡敢異心?山川鬼神,亦莫敢不寜。若共允,住天下之合,下土之葆。」察山川鬼神之所以莫敢不寜者,以佐謀禹也。此吾所以知《周商之鬼也。

新字:且《周書》独鬼,而《商書》不鬼,則未足以為法也。然則姑嘗止観乎《商書》,曰:「嗚呼!古者有夏,方未有禍之時,百獣貞虫,允及飛鳥,莫不比方。矧住人面,胡敢異心?山川鬼神,亦莫敢不寜。若共允,住天下之合,下土之葆。」察山川鬼神之所以莫敢不寜者,以佐謀禹也。此吾所以知《周商之鬼也。

書き下し

且つ周書のみ獨り鬼にして、商書は鬼ならずんば、則ち未だ以て法と為すに足らざるなり。然らば則ち姑く嘗みに止まりて商書を觀ん。曰く、「嗚呼、古者、有夏、方に未だ禍有らざるの時、百獸貞蟲、允に飛鳥に及ぶまで、比方せざる莫し。矧んや人面に住まる、胡ぞ敢えて心を異にせんや。山川鬼神も、亦た敢えて寜んぜざる莫し。若し共に允なれば、天下の合、下土の葆に住まらん」と。山川鬼神の敢えて寜んぜざる莫き所以の者を察するに、以て禹を佐け謀ればなり。此れ吾が周商の鬼を知る所以なり。

現代語訳

『周書』だけに鬼神があって『商書』に無いなら、手本とするには足りない。ではしばらく『商書』を見てみよう。「ああ、むかし夏が、まだ災いの無かったころ、あらゆる獣も虫も、飛ぶ鳥に至るまで、順わないものは無かった。まして人の顔をもつ者が、どうして心を異にできよう。山川の鬼神もまた、あえて安んじないものは無かった。もしみなが誠であれば、天下は和合し、地上は守られる」。山川の鬼神があえて安んじないものが無かった理由を考えれば、禹を助けて計ったからである。これが、私が『周書』と『商書』の鬼神を知る理由である。

解説

証拠を一つの書に頼らないための手続きです。周書だけでは足りないとして商書を見る。前の非命篇でも同じ手法が使われ、この「一つでは足りない」という自問が墨子の議論の癖になっています。単一の出典に依拠しない、という規律は、いまの調査でも同じく求められるものです。

この章句が説くこと

複数出典検証自問規律証拠

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