正法眼蔵随聞記 / 巻五
たとへば藍にそめたる物は靑く、檗にそめたる物は黃なるが如く、邪命食を以てそめたる身心は、卽ち邪命身なるべし、此の身心を以て佛法をのそまば、沙を壓して油を求るが如し、只時にのぞみて、兎も角も道理に契ふやうにはからふべきなり、かねてとかく思ひたくはふるは、皆たがふことなり、能々思量すべきなり、
新字:たとへば藍にそめたる物は青く、檗にそめたる物は黄なるが如く、邪命食を以てそめたる身心は、即ち邪命身なるべし、此の身心を以て仏法をのそまば、沙を圧して油を求るが如し、只時にのぞみて、兎も角も道理に契ふやうにはからふべきなり、かねてとかく思ひたくはふるは、皆たがふことなり、能々思量すべきなり、
書き下し
たとへば藍にそめたる物は青く、檗にそめたる物は黄なるが如く、邪命食を以てそめたる身心は、即ち邪命身なるべし、此の身心を以て仏法をのそまば、沙を圧して油を求るが如し、只時にのぞみて、兎も角も道理に契ふやうにはからふべきなり、かねてとかく思ひたくはふるは、皆たがふことなり、能々思量すべきなり、
現代語訳
たとえば藍で染めた物は青く、黄檗で染めた物は黄色くなるように、邪命食で染めた身心は、そのまま邪命の身であろう。この身心で仏法を望むなら、砂を絞って油を求めるようなものである。ただその時に臨んで、ともかくも道理に叶うようにはからうべきである。前もってあれこれ思って蓄えておくのは、みな間違いである。よくよく思量すべきである。
解説
染料のたとえで、食の得方が身心の質そのものを決めると言う。砂から油は絞れないという句は、因が違えば果は出ないことを示している。前段の、当てを付けるなという戒めが、その場その場ではからえという積極の形で言い直されている。
この章句が説くこと
邪命食染身心因果道理思量
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