新序 / 雜事第五
周文王作靈臺及為池沼,掘地得死人之骨,吏以聞於文王。文王曰:「更𦵏之。」吏曰:「此無主矣。」文王曰:「有天下者,天下之主也;有一國者,一國之主也。寡人固其主,又安求主?」遂令吏以衣棺更𦵏之。天下聞之,皆曰:「文王賢矣,澤及枯骨,又况於人乎?」或得寶以危國,文王得朽骨,以喻其意,而天下歸心焉。
新字:周文王作霊台及為池沼,掘地得死人之骨,吏以聞於文王。文王曰:「更𦵏之。」吏曰:「此無主矣。」文王曰:「有天下者,天下之主也;有一国者,一国之主也。寡人固其主,又安求主?」遂令吏以衣棺更𦵏之。天下聞之,皆曰:「文王賢矣,沢及枯骨,又況於人乎?」或得宝以危国,文王得朽骨,以喻其意,而天下帰心焉。
書き下し
周の文王靈臺を作り及び池沼を爲る。地を掘りて死人の骨を得たり。吏以て文王に聞す。文王曰く、更めて之を葬れ、と。吏曰く、此れ主無し、と。文王曰く、天下を有つ者は、天下の主なり。一國を有つ者は、一國の主なり。寡人固より其の主なり。又た安くにか主を求めん、と。遂に吏をして衣棺を以て更めて之を葬らしむ。天下之を聞き、皆な曰く、文王は賢なり。澤枯骨に及ぶ。又た况んや人をや、と。或いは寶を得て以て國を危うくす。文王は朽骨を得て、以て其の意を喩し、而して天下心を歸す。
現代語訳
周の文王が霊台を作り、あわせて池を掘った。地を掘って死人の骨が出た。役人はこれを文王に申し上げた。文王は言った。「あらためて葬れ」。役人は言った。「これには主がおりません」。文王は言った。「天下を保つ者は、天下の主である。一国を保つ者は、一国の主である。私がもとよりその主である。ほかにどこに主を求めるのか」。そこで役人に命じて、衣と棺をもってあらためて葬らせた。天下はこれを聞いて、みな言った。「文王は賢明だ。恵みが枯れた骨にまで及んでいる。まして生きた人にはなおさらだ」。ある者は宝を得てそれで国を危うくする。文王は朽ちた骨を得て、それで自分の考えを示し、天下の心が帰した。
解説
工事現場から出た身元不明の骨をどうするか、という些細な報告です。役人の言い分はもっともでした。これには主がおりません。返答が主語の話に変わります。天下を保つ者は、天下の主である。私がもとよりその主である。引き取り手がいないのではなく、自分が引き取り手だ、と。天下の受け取り方も明快です。恵みが枯れた骨にまで及んでいる。まして生きた人にはなおさらだ。
この章句が説くこと
地を掘りて死人の骨を得たり吏以て文王に聞す此れ主無し天下を有つ者は天下の主なり寡人固より其の主なり文王は賢なり沢枯骨に及ぶ又た況んや人をや責任担当
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