呻吟語 / 外篇・治道・壅蔽の奸は亡國の罪首
下情之通於上也,如嬰兒之於慈母,無小弗達;上德之及於下也,如流水之於間隙,無微不入。如此而天下亂亡者,未之有也。故壅蔽之奸,為亡國罪首。
新字:下情之通於上也,如嬰児之於慈母,無小弗達;上徳之及於下也,如流水之於間隙,無微不入。如此而天下乱亡者,未之有也。故壅蔽之奸,為亡国罪首。
書き下し
下情の上に通ずるや、嬰兒の慈母に於けるが如く、小として達せざる無し。上德の下に及ぶや、流水の間隙に於けるが如く、微として入らざる無し。此の如くにして天下亂亡する者は、未だ之れ有らざるなり。故に壅蔽の奸は、亡國の罪首と為す。
現代語訳
下の情が上に通じるのは、赤子が慈母に対するようで、小さなことも届かないことがありません。上の徳が下に及ぶのは、流れる水が隙間に入るようで、細かなところも入らないことがありません。このようであって天下が乱れ亡んだことは、いまだかつてありません。だから塞ぎ覆い隠す奸物が、国を亡ぼす罪の筆頭です。
解説
上下の通じ方を、二つの比喩で示します。下から上へは赤子と母のように小さなことまで届き、上から下へは水が隙間に入るように細かく行き渡る。双方向が揃った状態です。そしてこうであれば乱亡した例は無いと言い切られます。だから通路を塞ぐ者が、亡国の罪の筆頭になります。悪政そのものより、情報の遮断が最も重い罪とされているのが要点です。
この章句が説くこと
下情上徳双方向壅蔽罪首
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