呻吟語 / 外篇・天地・天何をか尤めて之を怨まん
天地既生人物,則人物各具一天地。天地之天地由得天地,人物之天地由不得天地。人各任其氣質之天地至於無涯牿,其降衷之天地幾於澌盡,天地亦無如之何也已。其吉凶禍福率由自造,天何尤乎而怨之?
新字:天地既生人物,則人物各具一天地。天地之天地由得天地,人物之天地由不得天地。人各任其気質之天地至於無涯牿,其降衷之天地幾於澌尽,天地亦無如之何也已。其吉凶禍福率由自造,天何尤乎而怨之?
書き下し
天地既に人物を生ずれば、則ち人物各おの一天地を具ふ。天地の天地は天地に由るを得るも、人物の天地は天地に由るを得ず。人各おの其の氣質の天地に任せて無涯に至れば、其の降衷の天地は澌盡に幾し。天地も亦た之を如何ともする無きのみ。其の吉凶禍福は率ね自ら造るに由る。天何をか尤めて之を怨まん。
現代語訳
天地がすでに人と物を生んだ以上、人も物もそれぞれ一つの天地を備えています。天地の天地は天地の思い通りになりますが、人や物の天地は天地の思い通りになりません。人がそれぞれ自分の気質の天地に任せきって際限が無くなれば、天から授かった真心の天地はほとんど尽き果てます。天地でさえどうしようもありません。その吉凶禍福は、おおよそ自分で作ったものです。天の何を咎めて怨むのでしょうか。
解説
人はそれぞれ自分の中に天地を持つとし、そこには天地でさえ手が出せないとします。だから気質に任せきれば、授かった真心は尽きてしまう。そして吉凶禍福は自分で作ったものだと結ばれます。天を怨む余地を無くす論法で、前に出てきた、司るのは善悪だけだという段と同じ結論に、天地論の側から着いた一段です。天を怨む余地を、無くしていく論法になっています。
この章句が説くこと
内なる天地気質自作怨天責任
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