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史記 / 亀策列伝

追亡人漁獵不得。行不遇盜。雨不雨。霽不霽。命曰呈兆。病者不死。繋者出。行者行。來者來。市買得。追亡人得,過一日不得。問行者不到。命曰柱徹。卜病不死。繋者出。行者行。來者來。市買不得。憂者毋憂。追亡人不得。命曰首仰足肣有內無外。占病,病甚不死。繋者解。求財物買臣妾馬牛不得。行者聞言不行。來者不來。聞盜不來。聞言不至。徒官聞言不徙。居官有憂。居家多災。歲稼中孰。民疾疫多病。歲中有兵,聞言不開。見貴人吉。請謁不行,行不得善言。追亡人不得。漁獵不得。行不遇盜。雨不雨甚。霽不霽。故其莫字皆為首備。問之曰,備者仰也,故定以為仰。此私記也。命曰首仰足肣有內無外。占病,病甚不死。繋者不出。求財買臣妾不得。行者不行。來者不來。擊盜不見。聞盜來,內自驚,不來。徙官不徙。居官家室吉。歲稼不孰。民疾疫有病甚。歲中無兵。見貴人吉。請謁追亡人不得。亡財物,財物不出得。漁獵不得。行不遇盜。雨不雨。霽不霽。凶。命曰呈兆首仰足肣。以占病,不死。繋者未出。求財物買臣妾馬牛不得。行不行。來不來。擊盜不相見。聞盜來不來。徙官不徙。居官久多憂。居家室不吉。歲稼不孰。民病疫。歲中毋兵。見貴人不吉。請謁不得。

新字:追亡人漁猟不得。行不遇盗。雨不雨。霽不霽。命曰呈兆。病者不死。繋者出。行者行。来者来。市買得。追亡人得,過一日不得。問行者不到。命曰柱徹。卜病不死。繋者出。行者行。来者来。市買不得。憂者毋憂。追亡人不得。命曰首仰足肣有内無外。占病,病甚不死。繋者解。求財物買臣妾馬牛不得。行者聞言不行。来者不来。聞盗不来。聞言不至。徒官聞言不徙。居官有憂。居家多災。歳稼中孰。民疾疫多病。歳中有兵,聞言不開。見貴人吉。請謁不行,行不得善言。追亡人不得。漁猟不得。行不遇盗。雨不雨甚。霽不霽。故其莫字皆為首備。問之曰,備者仰也,故定以為仰。此私記也。命曰首仰足肣有内無外。占病,病甚不死。繋者不出。求財買臣妾不得。行者不行。来者不来。撃盗不見。聞盗来,内自驚,不来。徙官不徙。居官家室吉。歳稼不孰。民疾疫有病甚。歳中無兵。見貴人吉。請謁追亡人不得。亡財物,財物不出得。漁猟不得。行不遇盗。雨不雨。霽不霽。凶。命曰呈兆首仰足肣。以占病,不死。繋者未出。求財物買臣妾馬牛不得。行不行。来不来。撃盗不相見。聞盗来不来。徙官不徙。居官久多憂。居家室不吉。歳稼不孰。民病疫。歳中毋兵。見貴人不吉。請謁不得。

書き下し

亡人を追ひ漁猟するは得ず。行きて盗に遇はず。雨ふらんとして雨ふらず。霽れんとして霽れず。命じて呈兆と曰ふ。病者は死せず。繋がるる者は出づ。行く者は行く。来たる者は来たる。市買は得。亡人を追ふは得、一日を過ぐれば得ず。行く者を問ふに到らず。命じて柱徹と曰ふ。病を卜するに死せず。繋がるる者は出づ。行く者は行く。来たる者は来たる。市買は得ず。憂ふる者は憂ふる毋し。亡人を追ふは得ず。命じて首仰足肣有内無外と曰ふ。病を占ふに、病甚だしくして死せず。繋がるる者は解かる。財物を求め臣妾・馬牛を買ふは得ず。行く者は言を聞きて行かず。来たる者は来たらず。盗を聞くも来たらず。言を聞くも至らず。官を徒(うつ)すも言を聞きて徙さず。官に居りては憂ひ有り。家に居りては災ひ多し。歳稼は中孰す。民の疾疫は病多し。歳中兵有り、言を聞くも開かず。貴人に見ゆるは吉。請謁は行かず、行くも善言を得ず。亡人を追ふは得ず。漁猟は得ず。行きて盗に遇はず。雨ふらんとして雨ふらざること甚だし。霽れんとして霽れず。故に其の莫の字は皆首備と為す。之を問ふに曰く、備なる者は仰なりと。故に定めて以て仰と為す。此れ私記なり。命じて首仰足肣有内無外と曰ふ。病を占ふに、病甚だしくして死せず。繋がるる者は出でず。財を求め臣妾を買ふは得ず。行く者は行かず。来たる者は来たらず。盗を撃つも見ず。盗の来たるを聞けば、内自ら驚くも、来たらず。官を徙すも徙さず。官に居り家室に居るは吉。歳稼は孰せず。民の疾疫は病甚だしき有り。歳中兵無し。貴人に見ゆるは吉。請謁し亡人を追ふは得ず。財物を亡ふも、財物は出でて得。漁猟は得ず。行きて盗に遇はず。雨ふらんとして雨ふらず。霽れんとして霽れず。凶なり。命じて呈兆首仰足肣と曰ふ。以て病を占ふに、死せず。繋がるる者は未だ出でず。財物を求め臣妾・馬牛を買ふは得ず。行くは行かず。来たるは来たらず。盗を撃つも相見ず。盗の来たるを聞くも来たらず。官を徙すも徙さず。官に居ること久しければ憂ひ多し。家室に居るは吉ならず。歳稼は孰せず。民は病疫す。歳中兵毋し。貴人に見ゆるは吉ならず。請謁は得ず。

現代語訳

逃亡者を追うことと漁や狩りは得られない。旅に出て盗賊に遭わない。雨は降りそうで降らない。晴れそうで晴れない。(次の形)名づけて「呈兆」という。病人は死なない。捕らわれている者は出られる。旅に出る者は出る。来る者は来る。売り買いは得られる。逃亡者を追えば捕まるが、一日を過ぎれば捕まらない。旅に出た者のことを問えば、まだ着いていない。(次の形)名づけて「柱徹」という。病を占えば死なない。捕らわれている者は出られる。旅に出る者は出る。来る者は来る。売り買いは得られない。心配ごとのある者は心配しなくてよい。逃亡者を追っても捕まらない。(次の形)名づけて「首仰足肣有内無外」(首が上がり足が縮み、内に兆しがあって外にない)という。病を占えば、病は重いが死なない。捕らわれている者は解き放たれる。財物を求めたり召使いや馬・牛を買ったりするのは得られない。旅に出る者はうわさを聞いて出ない。来る者は来ない。盗賊が来ると聞いても来ない。うわさを聞いても(その者は)来ない。官職を移そうとしても、うわさを聞いて移らない。官職にとどまれば心配ごとがある。家に住めば災いが多い。その年の穀物はほどほどに実る。民の疫病は病人が多い。その年に戦があるが、うわさを聞いても始まらない。貴人に会うのは吉。頼みごとは行かず、行っても良い返事は得られない。逃亡者を追っても捕まらない。漁や狩りは得られない。旅に出て盗賊に遭わない。雨は降りそうでまったく降らない。晴れそうで晴れない。そこで(この形の)「莫」の字はみな「首備」となっている。これを尋ねると、備とは仰のことだというので、仰と定めた。これは私の覚え書きである。(次の形)名づけて「首仰足肣有内無外」という。病を占えば、病は重いが死なない。捕らわれている者は出られない。財を求めたり召使いを買ったりするのは得られない。旅に出る者は出ない。来る者は来ない。盗賊を撃ちに行っても出会わない。盗賊が来ると聞けば、内心はおのずと驚くが、来ない。官職を移そうとしても移らない。官職にとどまることと家に住むことは吉。その年の穀物は実らない。民の疫病は重い病人が出る。その年に戦はない。貴人に会うのは吉。頼みごとや逃亡者の追跡は得られない。財物を失っても、財物は出てきて取り戻せる。漁や狩りは得られない。旅に出て盗賊に遭わない。雨は降りそうで降らない。晴れそうで晴れない。凶である。(次の形)名づけて「呈兆首仰足肣」という。これで病を占えば、死なない。捕らわれている者はまだ出られない。財物を求めたり召使いや馬・牛を買ったりするのは得られない。旅に出るのは出ない。来るのは来ない。盗賊を撃ちに行っても出会わない。盗賊が来ると聞いても来ない。官職を移そうとしても移らない。官職に長くとどまれば心配ごとが多い。家に住むのは吉でない。その年の穀物は実らない。民は疫病にかかる。その年に戦はない。貴人に会うのは吉でない。頼みごとは得られない。

解説

兆しの形ごとの判断表の続きです。「呈兆」「柱徹」「首仰足肣有内無外」「呈兆首仰足肣」といった形の名前が次々に立てられ、それぞれについて病・囚人・売買・旅・盗賊・官職・住まい・作物・疫病・戦・貴人・頼みごと・漁猟・天気の判断が並びます。同じ「首仰足肣有内無外」という名の項目が二度出てきて、中身が少しずつ違うのは、写し取った元の記録が混乱していたためかもしれません。その間に、元の記録で「莫」とある字は「首備」で、備とは仰のことだと聞いたので仰と定めたという、褚少孫自身の覚え書きが挟まっています。わからない字を人に尋ね、自分の判断を「私記」と明記して残す姿勢は、資料を扱う者として誠実です。記録を引き継ぐとき、どこまでが元の情報で、どこからが自分の解釈かを分けて書いておくと、後の人が迷わずにすみます。

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