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戦国策 / 孟嘗君讌坐

孟嘗君讌坐,謂三先生曰:「願聞先生有以補之闕者。」一人曰:「訾天下之主,有侵君者,臣請以臣之血湔其衽。」田瞀曰:「車軼之所能至,請掩足下之短者,誦足下之長;千乘之君與萬乘之相,其欲有君也,如使而弗及也。」勝曰:「臣願以足下之府庫財物,收天下之士,能為君決疑應卒,若魏文侯之有田子方、段干木也。此臣之所為君取矣。」

新字:孟嘗君讌坐,謂三先生曰:「願聞先生有以補之闕者。」一人曰:「訾天下之主,有侵君者,臣請以臣之血湔其衽。」田瞀曰:「車軼之所能至,請掩足下之短者,誦足下之長;千乗之君与万乗之相,其欲有君也,如使而弗及也。」勝曰:「臣願以足下之府庫財物,収天下之士,能為君決疑応卒,若魏文侯之有田子方、段干木也。此臣之所為君取矣。」

書き下し

孟嘗君讌坐して、三先生に謂ひて曰く、「願はくは先生の以て之が闕を補ふ有るを聞かん。」一人曰く、「天下の主を訾(そし)り、君を侵す者有らば、臣請ふ臣の血を以て其の衽に湔(そそ)がん。」田瞀曰く、「車軼の能く至る所、請ふ足下の短なる者を掩ひ、足下の長なる者を誦せん。千乘の君と萬乘の相と、其れ君を有せんと欲するや、及ばざらしむるが如くならん。」勝曰く、「臣願はくは足下の府庫の財物を以て、天下の士を收め、能く君の爲に疑ひを決し卒に應ぜしめん、魏文侯の田子方・段干木を有するが若くならん。此れ臣の君の爲に取る所なり。」

現代語訳

孟嘗君がくつろいで座り、三人の先生に「どうか先生方が私の足りない所を補ってくださるようなお考えを聞かせてほしい」と言った。一人が言った。「天下の君主を謗り、あなたを侵そうとする者があれば、私はこの身の血をもってその衣の襟を染めてでも命がけで防ぎましょう。」田瞀が言った。「車の轍の届く限りの場所すべてで、あなたの短所を覆い隠し、長所を語り伝えましょう。千乗の君主も万乗の宰相も、あなたを我が物にしたいと願いながら、及ばないと感じるほどになさいましょう。」勝が言った。「私はあなたの蔵の財物を用いて、天下の賢士を集め、あなたのために疑いを決し急場に応じさせられるようにいたしましょう。ちょうど魏の文侯が田子方や段干木のような賢者を得たのと同じようにです。これこそ私があなたのために取り組みたいことです。」

解説

孟嘗君が三人の食客に「自分に足りない点をどう補ってくれるか」と尋ねたところ、三者三様の答えが返ってきます。一人は身を挺しての防御、一人は評判づくりによる名声の拡大、一人は財を投じて優れた人材を集めることを申し出ます。武力・宣伝・人材登用という異なるアプローチが並ぶことで、主君を支える臣下の役割の多様性が浮き彫りになります。組織を支えるには、危機に体を張る者だけでなく、評判を広める者、優れた人材を呼び込む仕組みを作る者など、複数の異なる強みを持つ人材が必要であるという教訓は、現代の組織運営にも通じます。

この章句が説くこと

戦国策孟嘗君食客人材登用

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