呂氏春秋 / 貴卒⑤
趙氏攻中山。中山之人多力者曰吾丘鴥,衣鐵甲、操鐵杖以戰,而所擊無不碎,所衝無不陷,以車投車,以人投人也,幾至將所而後死。
新字:趙氏攻中山。中山之人多力者曰吾丘鴥,衣鉄甲、操鉄杖以戦,而所擊無不砕,所衝無不陥,以車投車,以人投人也,幾至将所而後死。
書き下し
趙氏、中山を攻む。中山の人に多力なる者あり、吾丘鴪と曰う。鐵甲を衣、鐵杖を操りて以て戰い、而して撃つ所碎けざる無く、衝く所陷さざる無し。車を以て車に投じ、人を以て人に投じ、幾んど將の所に至りて後死せり。
現代語訳
趙氏が中山を攻めた。中山の人で怪力の者がいて、吾丘鴪といった。鉄の甲を着、鉄の杖を操って戦い、打つものは砕けないものがなく、突くものは貫けないものがなかった。車で(敵の)車に投げつけ、人で(敵の)人に投げつけるほどで、あわや敵将のいる所まで迫って、その後に死んだ。
解説
趙の中山攻めで、怪力の勇士吾丘鴪が奮戦した最後の逸話です。吾丘鴪は鉄甲を着て鉄杖を振るい、打つものは砕け、突くものは貫き、車を車に人を人に投げつける凄まじさで、敵将の陣近くまで突き進んで討ち死にしました。「力は突(突進の勢い)を貴ぶ」という冒頭の主題を、力の側面から締めくくる例です。智の即断と並び、力もまた勢いと速さで一気に敵陣へ迫ることに価値がある——貴卒篇全体が、機を逃さず一気呵成に事を成す知恵と勇を説いていることを示します。
この章句が説くこと
吾丘鴪中山趙怪力突進貴卒
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