呂氏春秋 / 孟秋⑥
行之是令,而涼風至三旬。孟秋行冬令,則陰氣大勝,介蟲敗穀,戎兵乃來。行春令,則其國乃旱,陽氣(後)〔復〕還,五穀不實。行夏令,則多火災,寒熱不節,民多瘧疾。
新字:行之是令,而涼風至三旬。孟秋行冬令,則陰気大勝,介虫敗穀,戎兵乃来。行春令,則其国乃旱,陽気(後)〔復〕還,五穀不実。行夏令,則多火災,寒熱不節,民多瘧疾。
書き下し
是の令を行えば、而ち涼風至ること三旬なり。孟秋に冬の令を行えば、則ち陰氣大いに勝ち、介蟲、穀を敗り、戎兵乃ち來たる。春の令を行えば、則ち其の國乃ち旱し、陽氣復た還り、五穀實らず。夏の令を行えば、則ち火災多く、寒熱節ならず、民に瘧疾多し。
現代語訳
この令のとおりに行えば、涼しい風が三十日続く。もし孟秋に冬の令を行えば、陰の気が強くなりすぎ、甲殻の虫が穀物を害し、敵の軍勢が攻めて来る。春の令を行えば、その国は旱魃になり、陽の気がぶり返して五穀が実らない。夏の令を行えば、火災が多くなり、寒暖が不順になって、民に瘧(おこり)が多く出る。
解説
孟秋にふさわしい令を行えば吉、季節外れの令を行えば凶という、月令末尾の定型的な一段です。冬・春・夏それぞれの令を誤って秋に行った場合の災い——敵襲・旱魃・火災や疫病——を列挙します。これは季節ごとの気に合った政治を行うべきだという五行思想の応報観の表れで、月令各篇に共通する結びの形式です。名句というより暦のルール集として素直に読むべき箇所です。時季を外した行いが悪い結果を招くという教訓は、自然のリズムを軽んじない古代人の知恵を伝えています。
この章句が説くこと
月令応報陰陽孟秋災異五行
関連する章句
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呂氏春秋・孟春⑦孟春に夏の令を行えば、則ち風雨時ならず、草木旱槁し、國乃ち恐有り。秋の令を行えば、則ち民大いに疫し、疾風暴雨數々至り、藜莠蓬蒿竝び興る。冬の令を行えば、則ち水潦敗を為し、霜雪大いに摯り、首種入らず。
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呂氏春秋・孟夏⑧是の令を行えば、而ち甘雨至ること三旬なり。孟夏に秋の令をおこなえば、則ち苦雨數々來たり、五穀滋らず、四鄙入りて保つ。冬の令を行えば、則ち草木早く枯れ、後乃ち大水ありて、其の城郭を敗る。春の令を行えば、則ち蟲蝗、敗を為し、暴風來たり格りて、秀草實らず。
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呂氏春秋・季秋⑧季秋に夏の令を行えば、則ち其の國大水あり、冬藏殃敗し、民に鼽窒多し。冬の令を行えば、則ち國に盜賊多く、邊境寧からず、土地分裂す。春の令を行えば、則ち暖風來たり至り、民氣解墮し、師旅必ず興る。
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呂氏春秋・孟冬⑧孟冬に春の令を行えば、則ち凍閉密ならず、地氣發泄し、民多く流亡す。夏の令を行えば、則ち國に暴風多く、冬に方りて寒からず、蟄蟲復た出づ。秋の令を行えば、則ち雪霜時ならず、小兵時に起こり、土地侵削せらる。
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呂氏春秋・仲冬⑥仲冬に夏の令を行えば、則ち其の國は乃ち旱し、氛霧冥冥、雷乃ち聲を發す。秋の令を行えば、則ち天時に汁を雨らし、瓜瓠成らず、國に大兵有り。春の令を行えば、則ち蟲螟敗を為し、水泉減竭し、民に疾癘多し。
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呂氏春秋・仲夏⑥仲夏に冬の令を行えば、則ち雹霰、穀を傷ない、道路通ぜず、暴兵來たり至る。春の令を行えば、則ち五穀晚く熟し、百螣時に起り、其の國乃ち饑ゆ。秋の令を行えば、則ち草木零落し、果實早く成り、民、疫に殃いせらる。