呂氏春秋 / 孟夏⑧
行之是令,而甘雨至三旬。孟夏行秋令,則苦雨數來,五穀不滋,四鄙入保。行冬令,則草木早枯,後乃大水,敗其城郭。行春令,則蟲蝗為敗,暴風來格,秀草不實。
新字:行之是令,而甘雨至三旬。孟夏行秋令,則苦雨数来,五穀不滋,四鄙入保。行冬令,則草木早枯,後乃大水,敗其城郭。行春令,則虫蝗為敗,暴風来格,秀草不実。
書き下し
是の令を行えば、而ち甘雨至ること三旬なり。孟夏に秋の令をおこなえば、則ち苦雨數々來たり、五穀滋らず、四鄙入りて保つ。冬の令を行えば、則ち草木早く枯れ、後乃ち大水ありて、其の城郭を敗る。春の令を行えば、則ち蟲蝗、敗を為し、暴風來たり格りて、秀草實らず。
現代語訳
この月令の命令どおりに行えば、恵みの雨が三十日にわたって降る。孟夏に誤って秋の政令を行うと、長雨がしばしば降り、五穀が実らず、四方の辺境の民が賊を恐れて城郭に逃げ込む。冬の政令を行うと、草木が早く枯れ、のちに大水が起こってその城郭を壊す。春の政令を行うと、いなご(蟲蝗)が害をなし、暴風が吹き寄せて、花咲く草も実らなくなる。
解説
この段は、孟夏に正しい月令を行えば恵みの雨に恵まれ、季節違いの政令を行えば災いが起こると説く、月令の締めくくりです。正令に従えば三十日の甘雨があり、秋・冬・春の令を誤って行えば、それぞれ長雨や大水、いなごや暴風といった災害が生じるとされます。背景には、政治が天地の気と共鳴し、季節にかなえば順調、そむけば天変地異を招くという天人相関の思想があります。災異を政治の当否を映す鏡と見る発想です。現代の自然科学とは前提が異なりますが、時機を外した施策が予期せぬ悪影響を招くという警告として読めば、状況に合った判断の重要さを説く教訓と受け取ることができます。
この章句が説くこと
天人相関災異月令甘雨孟夏時令