論語 / 里仁篇
子曰:以約失之者,鮮矣。
書き下し
子曰わく、約を以てこれを失う者は鮮し。
現代語訳
簡素に生きる者の失敗は少ない。
解説
「約」とは、締めすぎるくらいに己を引き締め、無駄を削ぎ落として生きることです。話す時も口数を抑え、お金を使う時も余分を求めず、約束事も背伸びせず引き受ける。そうやって自分を律している人は、大きな失敗をしにくいものです。家計を切り詰めて堅実に暮らす人、口約束を安請け合いしない人が、結局は生活も人間関係も安定しているのと同じです。派手に振る舞い、あれもこれもと手を広げる人ほど、どこかで綻びが出ます。控えめであることは消極的な生き方ではなく、失敗を遠ざけ、周りからの信頼を積み重ねる、地に足のついた強さなのです。
この章句が説くこと
自己修養規律慎重さリスク管理持続可能性
関連する章句
-
『韓非子』初見秦第一且つ臣之を聞く、曰く、「戰戰栗栗として、日に一日を慎め。苟も其の道を慎まば、天下有つ可し。」
-
論語・衛霊公篇子曰わく、身をもって厚くし、人を責むること薄ければ、すなわち怨み遠し。
-
老子・第73章敢えてするに勇なれば則ち殺され、敢えてせざるに勇なれば則ち活く。此の両者、或いは利あり或いは害あり。天の悪む所、孰か其の故を知らん。是を以て聖人は猶お之を難しとす。天の道は、争わずして善く勝ち、言わずして善く応じ、召さずして自ら来たり、繟然として善く謀る。天網は恢恢、疏にして失わず。
-
『韓非子』存韓第二故に曰く、「兵は、凶器なり。」用を審らかにせざる可からず。
-
論語・述而篇子曰わく、徳の修まらざる、学の講ぜざる、義を聞きて徙る能わざる、不善を改むる能わざる、是れ吾が憂えなり。
-
論語・子罕篇子曰わく、吾未だ徳を好むこと色を好むが如き者を見ず。