論語 / 衛霊公篇
子曰、躬自厚而薄責於人、則遠怨矣。
書き下し
子曰わく、身をもって厚くし、人を責むること薄ければ、すなわち怨み遠し。
現代語訳
まず自分に厳しく、他人には寛く。恨みは離れていく。
解説
自分自身には厳しく、他人を責めることは少なくする。そうすれば恨まれることも少なくなる。孔子はこう教えます。自分の失敗には目をつぶりながら、他人の失敗にだけ厳しい人からは、いつのまにか人が離れていきます。逆に、自分に対しては高い基準を課しながら、他人の間違いには寛大な人のまわりには、自然と人が集まってきます。これは職場の上司と部下だけでなく、夫婦や親子、友人づきあいにもそのまま当てはまります。相手を責める前に、まず自分自身を振り返る。その姿勢を続けることが、結局はまわりからの信頼と、争いのない穏やかな関係を築くことにつながります。
この章句が説くこと
率先垂範規律謙虚さ信頼自己修養
関連する章句
-
説苑・善說魏の文侯大夫と酒を飲み、公乘不仁をして觴政と爲さしめて曰く、「飲みて釂さざる者は大白を以て浮せ。」文侯飲みて釂を盡くさず。公乘不仁擧げて君を浮すと曰う。君視て應えず。侍者曰く、「不仁退け、君已に醉えり。」公乘不仁曰く、「周書に曰く、『前車覆り、後車戒む。』蓋し其の危きを言うなり。人臣爲ること易からず、君爲ること亦た易からず。今君已に令を設くるに、令行われずんば可ならんや。」君曰く、「善し。」白を擧げて飲み、飲み畢りて曰く、「公勝不仁を以て上客と爲さん。」
-
説苑・臣術晏子朝す、敝車に乗り駑馬に駕す。景公之を見て曰く、「嘻、夫子の禄寡なきか、何ぞ乗ること任えざるの甚だしきや」と。晏子対えて曰く、「君の賜に頼りて、以て三族及び国の交遊を寿からしめ皆生を得しむ。臣暖衣飽食を得、敝車駑馬、以て其の身を奉ずるは、臣に於いて足れり」と。晏子出づ。公梁丘拠をして輅車乗馬を遺らしむ。三たび返して受けず。公悦ばず、趣ぎて晏子を召す。晏子至る。公曰く、「夫子受けざれば、寡人も亦た乗らじ」と。晏子対えて曰く、「君臣をして百官の吏に臨ましめ、其の衣服飲食の養を節して、以て斉国の人に先んぜしむ。然れども猶お其の侈靡にして其の行いを顧みざらんことを恐る。今輅車乗馬、君之に上に乗り、臣も亦た之に下に乗らば、民の義無くして、其の衣食を侈にして其の行いを顧みざる者は、臣以て之を禁ずる無し」と。遂に譲りて受けず。
-
尚書・君牙爾が身克く正しければ、敢えて正しからざる罔し。
-
三略・下略己を舎きて人を教ふる者は逆、己を正して人を化する者は順なり。逆は乱の招く所、順は治の要なり。道、徳、仁、義、礼の五つの者は、一体なり。道は人の蹈む所、徳は人の得る所、仁は人の親しむ所、義は人の宜しき所、礼は人の体する所にして、一も無かるべからず。故に夙に興き夜に寐ぬるは、礼の制なり。賊を討ち讎に報ゆるは、義の決なり。惻隠の心は、仁の発なり。己を得、人を得るは、徳の路なり。人をして均平ならしめ、其の所を失はざらしむるは、道の化なり。
-
十七条憲法 第八条群卿百寮(ぐんけいひゃくりょう)、早(つと)に朝(まい)りて晏(おそ)く退(しりぞ)け。公事(くじ)盬(しお)きこと靡(な)く、終日(ひねもす)にも尽(つ)くし難(がた)し。是(ここ)を以(もっ)て遅(おそ)く朝(まい)れば急(きゅう)に逮(およ)ばず、早く退(しりぞ)けば必(かなら)ずその功(こう)を尽(つ)くさず。
-
尉繚子・戰威軍井成りて後に飲み、軍食熟して後に飯し、軍壘成りて後に舍す、勞佚必ず身を以て之に同じくす。