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列子 / 湯問篇

魯公扈、趙齊嬰二人有疾、同請扁鵲求治。扁鵲治之。既同愈、謂公扈、齊嬰曰:「汝曩之所疾、自外而干府藏者、固藥石之所已。今有偕生之疾、與體偕長、今爲汝攻之、何如?」二人曰:「願先聞其驗。」扁鵲謂公扈曰:「汝志彊而氣弱、故足於謀而寡於斷。齊嬰志弱而氣彊、故少於慮而傷於專。若換汝之心、則均於善矣。」

新字:魯公扈、趙斉嬰二人有疾、同請扁鵲求治。扁鵲治之。既同愈、謂公扈、斉嬰曰:「汝曩之所疾、自外而干府蔵者、固薬石之所已。今有偕生之疾、与体偕長、今為汝攻之、何如?」二人曰:「願先聞其験。」扁鵲謂公扈曰:「汝志彊而気弱、故足於謀而寡於断。斉嬰志弱而気彊、故少於慮而傷於専。若換汝之心、則均於善矣。」

書き下し

魯の公扈・趙の齊嬰の二人疾有り。同に扁鵲に請いて治を求む。扁鵲之を治す。既に同に愈ゆ。公扈・齊嬰に謂いて曰く、汝の曩の疾む所は、外より府藏を干す者なり。固より藥石の已やす所なり。今偕生の疾有り、體と偕に長ず。今汝が爲に之を攻めば、何如、と。二人曰く、願わくは先ず其の驗を聞かん、と。扁鵲公扈に謂いて曰く、汝は志彊くして氣弱し。故に謀に足りて斷に寡し。齊嬰は志弱くして氣彊し。故に慮に少なくして專らなるに傷る。若し汝の心を換えなば、則ち善に均しからん、と。

現代語訳

魯の公扈と趙の斉嬰の二人が病になった。そろって扁鵲に治療を求めた。扁鵲は二人を治した。二人ともよくなったあと、扁鵲は公扈と斉嬰に言った。「あなたたちの以前の病は、外から内臓を侵すもので、もとより薬や鍼で治るものだ。ところがいま、生まれつきの病があって、体とともに育っている。いまあなたたちのためにそれを治療してみては、どうか」。二人は言った。「まずその根拠を聞かせてほしい」。扁鵲は公扈に言った。「あなたは志が強く気が弱い。だから策を練ることには足りているが、決断が少ない。斉嬰は志が弱く気が強い。だから思慮が足りないが、一途さで傷つく。もしあなたたちの心を取り替えれば、どちらも過不足なくなるだろう」。

解説

診断が的確です。志が強く気が弱い人は、策は練れるが決められない。志が弱く気が強い人は、考えは浅いが突き進める。どちらも半分だけ揃っている。そして扁鵲の処方は、それぞれを補強することではなく、二人の心を取り替えることでした。人の欠けているところを教育で埋めるのではなく、組み合わせで解く発想です。実務では、この二人を組ませればよい、という話になります。策を練る人と、決められる人。多くの組織が、一人にその両方を求めて失敗します。ただしこの話は、組ませるのではなく本当に取り替えてしまう。そこから思わぬ問題が起きます。

この章句が説くこと

志彊くして気弱し故に謀に足りて断に寡し志弱くして気彊し汝の心を換えなば善に均しからん謙虚

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